中には三行半ではなく、10行半に亘る離縁状がある。

「亭主より酒が好きで朝3合、昼3合、寝がけに5合の酒を

吞まないとダメな女房の例。

女小原庄助さんですね。

小原庄助さんのイラスト素材 [19224180] - PIXTA

亭主は困り果て、せめて朝1合、昼1合、寝酒3合にするように云うが、

女房は納得せず、1日1升の酒を吞まないでは生きてる甲斐が無い。

いっそ死にます。と云って川に行くがそこで保護され、

これには温厚な亭主も堪り兼ねて離婚を決心した。

 

離縁状

「其の方儀、1日1升づつの酒を間に合わず、5合に負けてくれとの

呉れよと談じ候ども相届かず、やむを得ず離別いたし候。

ついては分付として金13円と夜具1通り拝呈候。

何方へ縁付き候共勝手たるべきは勿論一切関係つかまつらず、

よって離縁状1札差入れくだんの如し。」

 

亭主怒り心頭ですね。

夜具まで付いてるのが面白いですね。

藁ではなく綿が入っていたのかもしれない

それだけ高価だったのでしょう。

 

中には、「結婚、十余度、離婚の原因は全て姦通」

叩きつけられた三行半十数通を六曲屏風に貼りつけ

それを眺めて楽しんでいた女もいたといいますから

これは確信犯でしょう。

どちらがよいのでしょうか?

 

こちらは武士の世界の話です

御庭番の川村家の離縁状

今の主人公を例に取ると4回結婚してます。

最初の後妻は、最初の妻の死後2年後の事で19歳娘、

然し、4年後に里帰りをした時に不埒が有ったとして

離縁になりました

不埒とは密通の事です。

実家に2泊してその内の1日に事件はあったらしく、

不倫と確定されてから翌日2人の叔父が駆けつけて

離縁の話は纏まり、発覚から4日後には離縁状が渡された。

2週間後には主家に離婚届を出し、まもなく嫁入り道具の

目録に照合させながら中身を確認し送り返した。

 

町人であれば妻の不貞があった場合は持参金の

返還は無いというのが、通例だが幕臣の世界では

そうではなかったようで、離縁状を渡すとすぐ

仲人が持参金の返還を求めてきた。

ところが貧乏に常に悩んでる下級武士ですから金が無い。

多分借金の返済に充ててたのでしょう。

仕方なく札差の所に行き借金をしてきた。

それでも持参金10両の内直ぐに渡せたのが5両で

残りの5両を渡せたのは2か月半が過ぎた頃でした

離縁状 三行半 みくだりはん 江戸時代 和本 古文書 - 古書、古文書

そしてこの離縁の翌年妻を迎えます。

この時の持参金が同じく10両。

前回の離縁で生じた借金が消えたのです。

再三離縁と結婚が相次ぐ理由には持参金を

当てにする風潮が大いにあり、

その要因となってたことが分かる例でした。

借金返済の為に結婚する。