さて結婚の話です

庶民ですと「くっつき合い」と言われる恋愛か或いは、

中途からはお見合いがあり、そこには真宗・浄土宗の寺で

行われる御講を利用したものあった。

[後生願の振りをして見合いなり」

報恩講

歴史散歩 江戸名所図会 巻之六 第十六冊

この日は、「お講日和)と言い、快晴の日が多かった。

信者たちが多く集まった事と、お昼に食事が出たこと

服装も決まっていて、男は肩衣の幅の狭い「お講お袖」

女は、「角隠し」と呼ばれた薄い黒頭巾を被った。


それとなく顔見せをして始まり

穴かしこまへば板に鯉を乗せ」

御講の最終日には、精進落しの「まないた直し」を行い

鯉を料理して終了する。

 

まな板落としとは、精進落しの事で、

まな板を削って生物を頂くという意味。

又、穴かしこ」とは一向宗が経文を唱える時に

最後に言う言葉である。

 

「赤縄」(しゃくじょう)という言葉がある。

これは出雲の神様が、男女の結び付きを相談してるところ。

赤縄の蜘蛛手にかかるいい娘」

思いを寄せる若い男が多く居て、まるで蜘蛛の巣のように、

思いを寄せる糸があっても、それは1本を残して全て切れて行く。

 

これは、「赤い糸」前世から目に見えない赤い糸で、

互いの足の指が結ばれていて、その糸は、

どんなことが有っても切れることなく、

やがて2人は結ばれるという

「婚礼の赤縄繋ぐ鯛が来る」

結ばれると結納の尾頭付きの鯛が届けられると

これはもう赤い糸がしっかりと結ばれた証拠。

 

これは、中国の古い故事からであり、

上田秋成「雨月物語」にも取り上げられている。

赤縄は、庶民の間でも信じられていた。

 

若し、仮に離縁となった場合も勿論有る。

やかましい姑引っきる赤い縄」

引っきる」という表現が面白いですね。

姑はいつも悪役なのです。