勿論これは一般の武士の場合ですが。

要するに金を借りる融通できる相手としても

親類を選んでいるのです。

 

最初に金を借りる相手として考えるのは

親類縁者です。

相見互いの精神です。

武士の場合は、連座制ですから、自分の家が不利にならないように

絶えず考えてます。

これは仮に昇進した場合も、親族の引き立てを

図っていくのも当たり前とされていて、

親族らは、一斉に親類書といわれる家の経歴書

の内容、昇進した家の事を書き改める。

 

無論、無断ではなく承認を得たのちにすることで

昇進の速かった御庭番の川村家でも再三その

お願いが来てました。

 

親類から借りるのが不可能な場合に幕府等の公的機関・御勘定所。

馬喰町にありました。

ここは、御庭番の川村家は利用してました。

年利12%、幕府が定めた金利です

ここが一番安かった。

次に蔵宿、最終的には町金の順序。

 

町金に行くということは、かなりの借金があり

返済のめどが立ってないということです。

こうなると家屋敷を担保に借りるようになり、

但し、武士の家は拝領地であり、

表向きは売買できませんので、名義上はそのままです。

 

逆に裕福な大名・旗本もこういった屋敷を買い入れて

抱え屋敷として非公式に使用した。

大商人も同様です。

 

武士の離婚率も高いのです。

そして別れた奥さんの再婚率も又高いのです。

 

32人の生涯にわたって精密な記録が残っている

武士の場合。

32人中13人が離婚経験者であり、

うち5人は2回経験してた。

そして、離婚した妻たちは孰れも再婚していた。

貞婦は二夫にまみえず」なんて嘘なのである。

まして、「お前百まで、わしゃ九十九まで」なんて、

夢の事です。

 

江戸時代、子供が居ない場合、

女性の存在は稀薄となり、

子供を産んで家に定着して婚家の柱となっている。

そうでないと実家に帰ることになります。

20年も続いた結婚は4分の1くらいで、

金婚式などは少ないのである。

 

離縁状が無いと思われていたのですが、

実際はあるのです。

これは珍しい武士の三行半です。

   「武士の離縁状

暇状之事、 我等女房おみな 此度暇出し申候 

以来何方へ縁付仕候共 

少も我等構無御座候 為其暇状 仍如件     

                以下 年月日  署名捺印

 

女性が泣く泣く貰うのではなく、早く頂戴よと貰って、

再婚するためなのです。

離縁状がなく結婚すると、重婚となり罰せられます。

旦那の方も同様で、これを出さないと結婚できません。

 

酷いときは結婚前に前もって離縁状を書いて貰ってる

場合もある。

 

中には、御庭番の川村家で紹介したような、

足入れ婚をして、その結果正式に婚姻を結んだ

事例もあり、足入れ婚でない婚姻の方が

離縁となったのもあり、どちらが良いのか判らないが、

やはり相性とかあるので暫く一緒に住んでからの方が

無難に行くような気がします。

 

川村家離縁状

 

「熟議の上、離縁」

どちらが悪いとかの理由は書きません。

 

「三行半」という離縁状が有りますが、

江戸自慢三十六興 鉄砲洲いなり富士詣(えどじまんさんじゅうろっきょう てっぽうずいなりふじもうで)

 

離縁の理由は、古今東西変わりません。

稼ぎが無い。

暴力を振う。

これが主な原因であったようで、現代も同じです。

 

「貞女たてたし間男したし」

ハムレットの心境ですか?

男にとっては魅力のある女であったに違いない。

 

ちなみに、爪印は男は左手の親指、女は右手の親指。

当時の考えであれば、右尊左卑主義だから、

男が右であった方が自然だが、何故か左である。

 

「古事記」にあるが、

「陽神は左より回り、陰神は右より回る」

からなのか判らないが、江戸時代は、

主に左が重んじられた。

というよりも朝廷での位としても、

左大臣の方が右大臣よりも上位とされていた。

左近の桜右近の橘といいます。

左近の桜


 

右大臣というのは、徳川将軍の次に予定されてる人

嫡子が西の丸に居住していた。

やはり、左大臣ではないのですね。

この辺で、バランスを取っていたのでしょう。

 

 

但し、右に出る者はいないとか、左遷させられる。

といった言葉もあるので、左が優れてる訳でもなさそう。

これは、中国の古来からの考え方で、やはり、

右が重んじられたのです。

 

反対に、インドなどでは反対ですね。

食事は右手で掴み、左手は排泄の時に使用します。

 

ただ、右が尊である考え方は、

天皇皇后の並び順をみても変えられていて。

今は逆になってる。

或いは、結婚式や節句の内裏雛の並びも変ってる。

人形の並び例(新式)向かって左・男、右・女