現代の離婚理由はといえば、2021年の司法統計によると、

離婚の申立理由は男女ともに「性格が合わない」が第1位。

離婚した男性の3割、女性の2割が「性格の不一致」を理由に離婚しています。

但し、実際には離婚裁判では「性格の不一致」は認められない。

江戸時代では、勿論、論外の理由です。

特に武家の社会では、子を産まないのが当たり前に離縁となってる。

江戸名所百人美女 堀切菖蒲(えどめいしょひゃくにんびじょ ほりきりしょうぶ)

 

庶民は兎も角、武家の女性は「女大学」などの

道徳本に縛られ制約がきついものでした。

「7去)と呼ばれた離婚の条件がありました。

 

1.嫁姑に随わない

1.7年経っても子が出来ない

1.浮気、他所の男に色目を使う

1.家族の者に不平不満を云ったり嫉妬する

1.不治の病や伝染病にかかった

1.姑や夫に意見する

1.家のものを盗んだ

 

最初の姑や夫に従わない。

これは、もし、夫が望まなくとも、姑の判断で離婚に

進むことも多かった

「姑去り」といいました。

妻や夫の意向には関係ありません。

結納金も妻に非がある時は返還されません

 

後妻打ち

 

江戸初期の頃は、「後妻打ち(うらなり打ち)といって、

離縁した直ぐに新妻を入れると、前妻は、

それを不満として、前妻方から後妻のもとに

使者が立てられ、口上で「御覚悟これあるべく候、

相当打何月何日参るべく候」

襲撃を予告したうえで、すりこ木や箒など日常に

使用するものを持って、旧婚家の御勝手を滅茶苦茶に

打ち毀す、という風習があり

前妻の縁者も多く参加して襲撃する。

 

迎え撃つ新妻の方も親類縁者等を呼び寄せて

徹底防戦に努めます。

どちらも男子の参加はありません。

女性のみの戦いです。

 

頃合いを見て前妻と後妻双方の仲人や侍女郎たちが

ともにあらわれ仲裁に入り、双方を扱って

引き上げるという段取りであった。

 

「待女郎」とは婚礼のとき、新郎の家に来た新婦を

家内へ案内する女性のことである

付添いの女性

これは、男は一切タッチできませんで、見てるだけで

新妻の方は、やはり人出を集めて家を防御する。

それくらい戦国の遺風なのか、武家の女性も

威勢が強く、世でも認められていたのです。

 

それが段々と世が穏やかになるにつれ、

離婚する時も、平穏になりました。

金の方が煩くなりました。