書物を置く台は、蔵の前の庭に張り板を敷きならべ

その上にからの櫃を横向きに並べる。

櫃の乾燥もするのである。

 

その櫃の上に板を敷き、

書物を表紙を下にして日に干す。

もし、天気が良ければ、櫃の上に置かずに、

地面に直に蓆を敷いて毛氈を広げ並べて干す。

並べる時も、色が変わらないように、

表紙を下にて並べる。

大体、1日に櫃5箱を目安に行う。

始まりは午前11時ころからで、終いは午後3時。

蔵に入れて、そのまま熱を冷ますために、一晩おき

改めて、翌日櫃に収納する。

この繰り返しである。

 

書物同心の仕事は、

平常は、目録を作ったり、本の修繕などである。

 

紙魚は紙を食べるのではなく、糊を食べるので

頁を綴じる、その周辺の修繕が主となる

 

ネズミなどにかじられた和紙の破片を拾い集めて、

文字を再生させるのです。

文字通り手作業で、静かに箸で破片をつまみ、

1行づつ置き糊でつけてくっつける。

幾らも作業は進まないが、これを続ける。

 

将軍秘蔵の書物を修理するのだから

何かあったらタダでは済まない。

場合によっては、何日も不寝番をして泊まることもある。

 

年に一度大掛かりな虫干しがある。

毎年晩夏から秋にかけて数ヶ月に及ぶ

大規模な曝書(虫干し)が行われ、

天候や湿度に注意しつつ、日光や風にさらされた。

雨が降った翌日も、多湿の時は、蔵の扉を開けないなど

徹底した管理が行われたので、今も残ってるのです。