何故か小便の話ししてましたら口紅になりました

再び、品よくオシッコの話を。


江戸の町では、京とは違い、小便は肥料とならない

という事で、その辺の溝に立小便が普通でした。

女も人目無ければ、その辺で蹲踞ししていた。




従って「此所小便無用」という張紙が屋敷町や

家の入口に多く見た。

これが江戸の町の特徴であった。

「小便無用は無い京の町」


内容は、「わんわんの外は、これだぞこれだぞ」

そして、鋏の絵が描いてある。




ただ江戸でも人口が増加するとともに、公衆便所

(小便桶等)設置するようになる。

人が多く集まるところではなおさらで、古着屋が

密集した柳原辺りでは、余計で設置されていた。

小便を樽詰めにする柳原

この頃では、小便を肥料にしようとする農家も

あったようで、上方に近くなってる。

本町 雛店

繁華街、例えば大店が建ち並んでいる本町あたりでは

裏通りに行くと、トイレが有り、但し、戸が無い2連式の

トイレである。


武士などは外出する際に、予め、そういう場合に備えて

場所を考えて出かけます。

勿論、有料の所もあるが、そうでないところでも

やがて売れるものが増えるのですから喜びます。



立小便がし辛い屋敷町以外では、

男は何処でもする。

マーキングです。

これは現代も変わりません。

どうしてもという場合は、辻番所ですね。


武家辻番所

ここはトイレの用事もあるが、一番のは屋敷を

聞かれることです。

何しろ屋敷に表札など有りません。

テレビ映画ですときちんと書いてあるので

分かりますが、実際は、同じような屋敷が並び

しかも、敷地があるので端から端まで歩くだけでも

時間が掛かるのです。

下手したら1日掛かったといいます。


切絵図などよく出来ています。

屋敷は勿論、坂道や階段、番所まで書いてあります。

ですからベストセラーになったのも当然ですね。

四谷の切絵図

立小便を防ぐために、鳥居を描いた「小便無用」の

札が貼ってある。



鳥居は神聖で禁忌の場所という意味でした。

  ハサミでちょん切るぞ!

紀州徳川家では、規則書「江戸御屋敷中御定書」で

次のように注意を促してる。

「1.侍衆居られ候あたりにては、大はだぬぎ、

   立しょうべんの類、仕まじき事

1.お供先にて、腰掛、門に唾はき、落書きいたし

  人の屋敷に込み入り致し申しまじき候、

  大小用を叶え候ども、物陰門番に聴き、

  雪隠に参るべく申す段」


当たり前に思えるこの禁令が、毎年執拗に

出されていた事は、町中で町人と同じような

立小便の類をしてたからであり

規則が守られてなかったという事であった。


有料の公衆便所もありました。



有料トイレもありました。

貸雪隠と言い、料金1回5文。

これは、不忍池弁財天が開帳された時、連日の

大入り、しかし、トイレが有りません。

不忍池・中島弁財天


小咄です。

そこで裏側に有料トイレを作った所、これが満員盛況

これを見た或る人、同じく作ろうとしたが、女房が

もうダメだからと言って止めたが作る。

これが満員で前に作ったトイレはガラガラ。

不思議に思った女房が亭主に聴くと、

向うのトイレは、俺が1日入っていて使用不可に

したからだという。

落語の「鹿乃子餅」でした。


松浦静山


小便を使った占いも有ります

平戸藩主・松浦静山の「甲子夜話」に出てる話ですが

小便で出世を占った話があります。


「婦人の小便する事を聞いて願望の成不成を知る事

行われ、諸氏の権門方留守居の輩、その門に出入る。

さすれども流石婦女の事ゆえ、目前にては尿せず

物を隔ててこれを為す。


1日、ある大家の留守居、密かに願望を述べて

小便の音を聞く。

その音、じじゅうじじゅうじじゅうじじゅう(侍従)


留守居曰く誠に忝し、されど今少し昇らせ給われと

請えば、又その音を聞くべし。

聞いたるに、此の度は、しょうしょうしょうしょう

(少将)と聞こゆ。

大いに喜びたれども、これを安んぜず、今少し

昇らせ給えと請いて聞きしに、此の度は、

しょだいぶ(諸太夫)と放屁したれば、大に望を

失えりと」


その大名は、昇進できるかどうかは、

婦人が小水する音で判るという事を聞きました。

そこで或る日、厠の傍に佇み作戦を実行したのです。


「すると、ジジョーシューシュー」と聞こえた。

自分は侍従少将(帝の傍に仕える)になれると

喜びます。

でも、もう少し上の官位がという欲が出て

その場を去らなかった。

すると、婦人が大きく放屁をした。

その音は「ショー ダイブ」と聞こえたのです。



侍従少将だったのに欲を出したばかりに、

諸太夫になってしまったという話です。

江戸屋敷を預かる留守居役の経験談でした。