夏の夜寝苦しい一つに蚊の「ブーン)という音がある。

江戸では、蚊帳を釣って防ぐが、何分、萌黄の蚊帳は

高価な為に庶民では手が出ませんで、

米の2,3石分の値段でした。

農村は、江戸は夜は青い畳で寝て、昼は蚊帳を釣る

羨ましいといったそうです。

一茶も詠んで

「馬までも 萌黄の蚊帳に 寝たりけり」
馬にまで蚊帳を釣った武士もいたという。

しかし、庶民は、紙で作られた安価な紙帳で

間に合わせます。

経験した事無いが、湿気が籠ったのではと思います。

「月さすや 紙の蚊帳でも おれが家」


蚊の対策として、あとは、蚊遣りを焚きます。

金の無い家だと松を焚きますから、煙が濛々、

目がチクチクで大変で、夕方には、一斉にどこの家でも

松を焚くので煙で前が見えなかったという話もある。

蚊遣り


さて、蚊を防ぐ方法として信じられていたのに

「部屋の隅に雁の絵を描いて置いておく」のが

ありました。

又、雁の形に切り抜いた紙を張り付ける


由来は判然としない。

一説には、長崎在住の清国人から来たらしい

糸に蝙蝠の血を塗り、それを蚊帳の取っ手の所に

縫いつけると、蚊が寄り付かないという。

そこで蚊帳に蝙蝠の絵を描いて貼った事から来ていて

それを見て広まったともいう。

いつしか、蝙蝠が雁に変ったらしい。


お袋は ぶきな姿に 雁を描き

絵を描くのは女の仕事とされ、描いたが、

それが、どうも

不格好なものでした。

「女房の書画は 卯月と九月厨」

女の仕事として書くのは、4月に虫除けとして書く

虫除けの歌と、9月に書く蚊除けの雁の絵でした。



右下に貼ってる紙が、虫除けの歌で、

わざと逆さまに書く。

4月お釈迦様の誕生日である灌仏会にお参りし

その甘酒で墨をすり歌を書いて虫除けとした。

千早振る卯月8日は吉日よ、

         かみさげ虫を成敗ぞする」