
晩餐会と同じように大変なのは春秋の園遊会である。
招待される人数が1500人位の用意をするのである。
赤坂御苑には、カナッペや巻鮨、焼き鳥、ジンギスカンなどの
模擬店が並ぶ、多くは出入りの業者で、焼き鳥とジンギスカンは
大膳課が行う。
焼き鳥だと、1串に4個2千本なので、8千個の肉を用意しなければ
ならない。
3日前から御料場から、何百という鶏肉が運び込まれ、処理される。
腿肉は赤く、胸肉は白い。
胸だけでは、油気が少なくパサパサするので、双方2個づつ
赤白赤白の順に刺して置く。
一方、洋食係は、ジンギスカンを用意する。
これも大人気である。
天皇の普段の食事内容はというと、
昭和天皇の場合は、朝食は、オートミール、トーストパン、小物パン、
紅茶に温野菜かサラダ、季節のフルーツであった。
それに御料牧場の濃厚なミルクと蜂蜜、イチゴジャムが適宜添えられた。
今も同じだが、今上天皇はライ麦パンである。
フルーツなどは、ブドウなど一粒づつ皮を剥ぎ、種も取る。
蜜柑もオレンジも皮を剥き、缶詰にあるような状態で出される。
これを「お直し」といいます。
ただ、これでは、皇太子が幼い頃、学校で蜜柑が出されて、
蜜柑の皮の剥き方が分らなかった為に、そのまま、持ち帰った
事もあったので、いろいろ工夫したようです。
昭和天皇は、河豚を食べたことが無かったと云います。
これは幾度も、河豚を食膳に乗せようかという問題が出たことが
あったそうですが、万一のことを考えて、到頭、食膳に出さなかったと
云います。
昼食と夕食は交互に洋食・和食が出される。
献立は2週間前に作成される。
その献立を侍医らが了承すると、食材の発注である。
食事は、お代わりすることが有る為、隣で待機する。
食事が少しも残さずに居たりするとホッとするが、残したものが
あると、健康の問題があるのかどうか確認するうえで
重要な問題となるという。
食器類は、日常の物は御紋付ではない。
御紋付が使用されるのは、天皇家主催の公式な午餐会、晩餐会
に用いられる。
御紋とは、十六葉八重表菊形、十六弁の菊花と云われるものである。
後鳥羽上皇が好んで使って以降、古くから皇室で使われたが、
正式に法律で制定されたのは、明治になっての太政官布告であり。
更に、明治二十六年の「天皇旗章制定」がある。
尚、宮家の紋は、十四葉一重裏菊形紋である。
現代では、パスポートの表紙にも使われている。
又、御所に訪問される方をおもてなしする時は、お印の付いた
ものが用いられる。
今上陛下は榮、皇后は白樺、皇太子は梓、妃殿下はハマナス、
でも、普段の食事の時は、一般的なものです。
有田焼が主です。
御所に御客様を迎えて大膳の方には、前日までに、お客様の人数や
希望の料理を書いた伝票が来るそうです。
ただ、お客様と云っても公務ではないので、普段の食費から
捻出するそうですが。
ところが、或る時、異例の電話での注文があったそうです。
殿下ともう一人の分です。
何時にない事なので、余程大切な御客様であろうと思いました。
取り敢えず、メニューを作ってFAXで送ったそうで、ところが、
今迄に無い事に、もう一度検討してくださいという返事が有ったのです。
今まで、変えて欲しいという事は無かったので、吃驚しました。
検討するという事は、料理をグレードアップしなさいという事です。
そこで、改めてメニューを送りましたら、今度は、「それでお願いします」
そこで作ったメニューが次の物でした。
前菜の盛り合わせ
鱶鰭の姿煮込み
牛肉のオイスター炒め
上質の牛肉を中指の第2関節位の大きさに切り
油で揚げ、複数の肉厚の西洋ピーマンを入れ
オイスターソースで仕上げ、それをじゃが芋の
細切で作った籠に盛り付けた。
伊勢海老の淡雪炒め
伊勢海老と青菜を湯通しして手早く炒め、作っておいた
上湯スープに入れて、クコの実を入れ味を調え
卵白を泡立てながら溶かし込む。
チャーハン
デザート
そして、食事が終り、どのお皿も綺麗になって下がってきたのを
見てホッとしたそうです。
とうとう、当日になってもお相手が誰が判りませんでした。
後日、ご本人から御礼を頂いて判りました。
雅子さんでした。
交際が始まったころなのでしょう。
箸は柳の箸です。
柳は真白く水滴が1滴でも着いたらすぐ判ります。
怪しい事はないという印です。
儀式の中では、「御真似」と云い、箸をつける形のものがある。
それは銀の長箸を使いますが、但し、新嘗祭などの神事の時は
木製の箸が使われる。
そして「ハレ」の儀式で使われた箸は、他で使われることが無いように
捨てられます。