1903年12月17日ライトフライヤー号が動力による初の有人飛行を成功させた。
ウィルバー・ライトとオービル・ライト、空にかける想いと空を飛んでしまったことによる悩み。
見守る母スーザンと妹キャサリン。
熱に浮かされ、さ迷い込む不思議な世界。
飛行を果たした末の苦悩を持つ兄ウィルが、そこで出会ったのは時を隔て飛行以前の病に伏していた時の弟オーブだった。
エメラルドシティを目指すドロシー、ライオン、カカシ、ブリキ。
彼らには願いがあった。
オズの大魔法使いに逢って叶えてもらいたい願いが。
オーブは帰りたいという願いがあった。
空の果てに帰りたいという願いが。
ウィルは苦悩を知り、空への想いに対し懐疑を持っていた。
止められず、真実も教えられず。
オズの世界を旅し、苦難の果て逢った魔法使いは「空に近い者」リリエンタールだった。
願いは魔法では叶えられない。
叶えるために必要なものは、意志。
オーブは還る場所を思いだした。
ウィルは想いを思いだした。
空を飛ぼう、と。
One on OneのChordシリーズ最終作。
シアターグリーン BIG TREE THEATERにて。
ウィルバー・ライト/鯨井康介さん
オービル・ライト/内藤大希さん
キャサリン・ライト、南の良い魔女/田宮華苗さん
スーザン・ライト、南の悪い魔女/佐野まゆ香さん
ドロシー/岡村さやかさん
ライオン/蔵重美恵さん
カカシ/千田阿紗子さん
ブリキ/妻木泰二さん
ストーリーテラー/浅井さやかさん
オズ、オットー・リリエンタール/上野聖太さん
演奏/はんだすなおさん
何から何まで素敵な舞台でした。
ウィル鯨井さんはシブカッコイイも、弟に哀しい真実を伝えない優しくも苦しい感情を秘めています。
オーブ内藤さんのとにかく何かに向かって立ち進もうという健気さもバッチリです。
千田さんのカワイイカカシ(ラップ最高)、蔵重さんのハマりきったライオン、ブリキの妻木さんのシニカルさとかをおさえて、岡村さんのドロシーの破壊力たるや!
いつもの如く聞き惚れる歌に、ツンツンドロシー!
ほんの一瞬のデレのカワイサもいいけど、反則的にキャラ立ちしたドロシーに完敗です。
田宮さん、佐野さんの優しい家族の美しい歌唱、魔女としては客席を爆笑に包ませるフリーな攻撃力も大好きです。
浅井さんのストーリーテラーがオズとライトとのブリッジですね。
上野さんのオズ/リリエンタールの軽さも効いています。時代や飛行機しばりでリリエンタールになったのは納得できるんですが、あのオズの性格だったらモンゴルフィエにして熱気球(Lighter Than Air/空気より軽いもの)にしちゃうのも手だったかも?
涙も勇気も心躍る冒険心をくすぐる本当に素晴らしい物語でした。
ライトフライヤーが空を飛んだ日から90年と3週間、砂まじりの乾いた空気を吸って時代遅れの小さな機体が震えた。
ふらふらと、地平線が斜めになった。
ほんのわずかな間、空の世界の住人だった。
浮田幸吉に憧れた勇気を奮い空へ駆けたのだ。
ほんの一時ではあったが
そうなのだ
今は翼を持たずとも
そうだ
わたしも
BIRDMANのひとりだったのだ。
