出版社

文春文庫

第1刷

1980年2月25日

第19刷

1990年3月15日

言語

日本語

ISBN-13

978-4167142193

定価

440円

文庫

299ページ

 

概略

雨乞い庄右衛門

平蔵の旧友の

岸井左馬之助は

江戸に戻る途中

只モノではない男と

知り合いに

 

実はその男は

最後の盗みから四年経ち、

その消息は途絶えていたが

 

病が復調した為、

最後のお勤めとして

江戸へ向かう途中だった

大盗・雨乞い庄右衛門

 

しかし、

庄右衛門の女・お照と

破目の伊太郎は共謀し

かつての一味を牛耳っており、

 

二人は庄右衛門の右腕の

鷺田の半兵衛と安五郎を殺し、

庄右衛門の命をも

狙っていた

 

伊太郎が放った定七と

市之助からの襲撃を

なんとか逃れた庄右衛門は

ようやく

二人の裏切りに気づき

 

けじめをつけるために、

死期が迫る中、

江戸へ向かうが・・

 

左馬之助は、

平蔵の元へ行き・・

 

左馬之助に

ほうびをやると言ってしまったので

和泉守国貞を

渡すことになってしまった平蔵ねー

 

隠居金七百両

平蔵の息子・辰蔵が

鬼子母神にある

茶店「笹屋」の娘・お順に

惚れた

 

お順の父・次郎助は、

かつて盗賊・白峰の太四郎の

片腕といわれた男だが

四年前に足を洗っていた

 

その次郎助のもとに、

かつての仲間・薬師の半平が

やってきて

 

太四郎が

隠居金としてため込んだ

七百両を

預かってほしいという

 

隠居金は、

盗っ人が足を洗う前に

最後の盗みで作るモノで

ため込むのはご法度

 

だが、高齢の太四郎の為

そして受けた恩を返す為

次郎助は金を預かる

 

が、太四郎の元配下の

奈良山の与市が現れ、

隠居金の在りかを狙って

次郎助に近づいてきた

 

しらを切っていた

次郎助だったが、

与市にお順を

さらわれてしまう・・

 

そのころ辰蔵は、

平蔵の私邸から

くすねたかんざしを、

お順に渡そうと考えていた

 

が、笹屋が店を

閉めたきりにしている事に

不審を抱く・・

 

はさみ撃ち

かつて

中国と九州で名を馳せた

大盗賊・猿皮の小兵衛

 

一人も殺さず、

一度もお縄にならぬまま引退し

今は江戸で

薬種問屋・萬年屋の主人

 

ある日、妻・おもんに、

貸し本を生業とする友蔵という

間男ができた

 

実はこの男、

女たらしの引き込みで知られた

盗賊・針ヶ谷の友蔵

 

友蔵は、

おもんをたぶらかして、

おもんの床に忍び込み

萬年屋の間取りを調べ、

 

相棒・大亀の七之助に

押し込みの人集めを頼む

 

ところが七之助は

その人集めを

平蔵の密偵・相模の彦十に

頼んでしまう・・

 

一方小兵衛は、

おもんの間男が

友蔵である事や

友蔵が

賊であることを見抜き・・

 

掻掘のおけい

紙問屋・伊勢屋が襲われ、

主人と女房のおけいが、

手足を縛り上げられた格好で

見つかった

 

実は盗賊を引き込んだのは

おけい

 

おけいは当然取り調べにも

しらを切り、

事件は迷宮入り

 

一年後、

密偵・大滝の五郎蔵と忠吾は

大店の女房になりすました

おけいを発見

 

そんな中、五郎蔵は

かつて配下だった鶴吉と

鉢合わせし、

 

おけいに

骨抜きされているので

助けて欲しいと

鶴吉に懇願される

 

調べるとおけいは

残忍極まりない和尚の

半平と組んで、

新たな盗みを画策していた

 

泥鰌の和助始末

平蔵の息子・辰蔵が通っている

坪井道場へ現れた

剣術遣いが

松田十五郎と名乗ったと聞き

平蔵は、それが

松岡重兵衛の変名と悟る

 

実はこの時

「大工小僧」の異称を持つ、

泥鰌の和助が、

実の息子・磯太郎が

紙問屋・小津屋の旦那に

金を使い込んだという

濡れ衣を着せられ

自殺した為

 

小津屋へ仇討ちのつもりで

盗みに入ろうと思い

退屈を

もてあましている剣客の

松岡重兵衛に助っ人を

頼んでいた

 

しかし、平蔵が辰蔵に

重兵衛の住いを

探させた途端、

雲隠れされてしまい


重兵衛が立ち寄った

鰻屋・喜田川では

惣七も店を閉めており

その後の調べで

和助の狙い先が判明

 

また、

辰蔵の悪友・阿部弥太郎が

惣七の女房が

天現時寺の門前で

茶店を出しているのを

見つけ

平蔵は見張りをつける

 

重兵衛は首尾よく

紙問屋・小津屋へ忍びこみ、

金を盗み、

帳面類を川へぶちまけたが

盗人宿へ戻ると

惣七の裏切りで、

浪人たちが横取りし

和助は斬られて死んでいた

 

和助と重兵衛と

平蔵の関係は・・

 

寒月六間堀

平蔵は

本所の軍鶏鍋屋・五鉄に

泊まった翌日

 

彦十と共に歩いていると、

ある老武士が、

金貸し・山下藤四郎を

討とうとしていた

 

だが、老武士は

なかなか体が動かず、

結局、嗚咽し始め

討つ事は出来ず

 

それでも

山下を追う老武士に

平蔵は声をかけたところ

 

老武士は

市口瀬兵衛と名乗り、

 

山下は息子の仇で、

七十一歳になる瀬兵衛は

二十年余り山下を

探し求めていたという

 

話を聞いた平蔵は、

瀬兵衛の仇討ちの

手助けをすることに

 

どうやら山下は

料亭・巴屋の

女主人・おとせと

因縁があるらしい

 

盗賊婚礼

誰にも気づかれずに

薬種問屋・山城屋で

金七百八十両が盗まれた

 

弥太郎一味の仕業であり

その弥太郎のもとに、

名古屋の

大盗・鳴海の繁蔵から

書状が届く

 

内容は、

弥太郎が繁蔵の娘・お糸と

夫婦になるという、

双方の親同士が

交わした取り決めを

確認する為のもの

 

ただ、鳴海一味は、

繁蔵の代になってから

手っ取り早く稼ぐ為に

殺しを黙認する

「急ぎばたらき」を

するようになっており、

江戸に出て盗みを働く際に

弥太郎を

利用しようとしているのは

明らか

 

弥太郎は、

結婚の約束は守るが、

稼業での付き合いは

しないと伝える

 

同じ頃平蔵の所へ

十年前迄弥太郎の

配下だった長島の久五郎を

見かけたと報せが入る・・

 

感想

放蕩三昧だった息子・辰蔵が

ある出来事をきっかけに

剣術に目覚める様は

 

若かりし頃、

同じような生活を

していた平蔵は

辰蔵の気持ちがわかるだけに

辰蔵に対して鷹揚で

鬼ではない平蔵の一面が

見られ、周囲も

温かく見守っているのが

とっても和む

 

敵討ちの助太刀をする平蔵は

さもありなん

 

そして

 

「つまりは、

人間(ひと)というもの、

生きて行くに

もっとも大事のことは 

 たとえば、

今朝の飯のうまさは

どうだったとか、

今日はひとつ、

なんとか暇を見つけて、

半刻か一刻を、

ぶらりと

おのれの好きな場所に

出かけ、

好きな食物(もの)でも食べ、

ぼんやりと酒など酌みながら

 

 さて、

今日の夕餉には

何を食おうかなどと、

そのようなことを考え、

夜は一合の寝酒を

のんびりとのみ、

疲れた躰を床に伸ばして、

無心にねむりこける

 

このことにつきるな」と

言う平蔵もいる

 

この頃の平蔵の年齢は

わからないけれど

日々気を張っている平蔵だから

そう感じるのか

老いがそう感じさせるのか

どちらにしても

何にも欲のない

平蔵の気持ちが

現れている

 

人を殺さない

貧しい人から盗まない

女性を襲わない

 

盗人三か条を守る

人情派!?の盗賊は

浅田次郎氏の「天切り松」を

思い出す

 

言わずもがな、

面白くて一気読み

 

おまけ

 6/23 5:30

日の出3:56 +1

日の入19:18 +0

⏫26度⏬15度晴れ

 

なりたい自分にちまけいで

 6/23

体内年齢:57歳

BMI:22.3

昨日の歩数:4431歩走る人

無事過ごせて感謝音譜

 

 

    

今日のことば

浮浪の徒と

口をきいたこともなく、

酒ものみ合うたこともない

上ツ方に

何がわかろうものか。

何事も

小から大へひろがる。

小を見捨てて

大が成ろうか。

-長谷川平蔵-