幾世の鈴 あきない世傳 金と銀  特別巻(下)

    

出版社 

 角川春樹事務所

発売日

2024/2/29

言語 

日本語

文庫

324ページ

装画

卯月みゆき

装幀

多田和博+

フィールドワーク

定価

770円

ISBN-13 

978-4758446211

概略

明和九年(1772年)
「行人坂の大火」の後の
五鈴屋ゆかりの人々の物語

 
第一話 暖簾

幸と賢輔の結婚を、
賢輔の親にどう説明するか
悩む元桔梗屋の
五鈴屋八代目店主・周助
 
賢輔が九代目となることで、
身を引こうとする周助が
悩んだ末の結論は・・
 
第二話 菊日和

幸が店主の
「五鈴屋江戸本店」も
菊栄の小間物屋「菊栄」も
元菊栄の夫・惣次の
「井筒屋」も
大火で焼けてしまう
 
江戸本店から大阪へと
移る幸に対し
江戸に留まり、
自分の店を
揺ぎ無いモノにするべく
新たな流行りを生みだし
精進を重ねる菊栄
 
そこには影日向と支える
惣次の姿があった

第三話 行合の空

姉への嫉妬や憎しみから
五鈴屋の染め物の
型紙を持ち出し
その後、
音羽屋忠兵衛の後妻に
入った結
 
裏の駆け引きを得意とする
忠兵衛だったが
ある事がきっかけで
悪だくみが露見し
さらに
実娘の裏切りに会い
重追放と闕所を
言い渡された

闕所(けっしょ)

前近代 において 

財産没収刑 

(所領を没収すること)

又は

その刑罰により

所有者がいなくなった

所領 のこと

 

闕所解き放ち後
幸が引き取りするも
結は
お腹に子を宿していた為
幸に許しを乞う事をせず
罪人となった夫と
生きる道を選び
 
縁あり
隠居を考えていた
老店主から
旅籠「千草屋」の屋号ごと
譲り受けたのだった
 
それから12年
桂と茜と女子二人に
恵まれたが
相も変わらず結は
姉・幸への恨みと
反発心を持ち
長女・桂が幸に
何から何まで似ている事から
桂さえも疎ましく思う
 
そこへ
太物の仲買人の
源蔵と名乗る男が千草屋へ
やってきて・・
 
長女・桂は
端切れを袋に仕立て
お詣りした石を入れて
旅の安全に、と
お守りを作り
「千草屋」の泊り客に
配っていた
 
第四話 幾世の鈴

幸と賢輔が結ばれて
10年後
 
大阪で
九代目となった賢輔に
試練が訪れる
 
幸も61歳
 
子供の無い夫婦は
五鈴屋の暖簾をどう守り、
その商道を後世に
どう残すのか悩む毎日
 
ある日幸は
留七の倅・益彦から
播磨の旅籠でもらったという
鴇色の縮緬地の小袋で
お守りの角口に小さな鈴が
縫い留めてある
お守りの様なものを
渡された
 
 
紐は二色
苅安色(かりやすいろ)
 
藍色
 
その二つが混じり合うと
青みがかった緑に
 
それは
五鈴屋の暖簾の色でもあり
 
色といい、鈴といい、
全てが五鈴屋の為
幸の為に
作られたようだった
 
幸は53年、賢輔は47年
五鈴屋に入って
今でこそ全幅の信頼を持つ
使用人に囲まれてはいるが
今迄の道のりは
決して平坦ではなく
 
 家柄や素性が、
商いを支える訳では
決してない事を踏まえ
 
時に金となり、
時に銀となる者たちが
居てこそ、
心を尽くしてこそ、
商いの系譜は守られる
 
そういう思いが
主従問わず
皆にあったからこそ
五鈴屋は
初代徳兵衛の創業から
百年を越える事ができた
 
その五鈴屋の商道を
これからも代々に亘って
のちの世に伝える為に
書き記す事に
 
「商い世傳」として

 

感想

8年間読み続けた

シリーズも

とうとう最終巻

 

まだ幼かったあの幸が

還暦・・

 

ちまけいブログより

前から始まっていた事を

思い出しました

 

着物、色、季節、

当時の市中の事など等

8年前に比べると

文中の昔の呼び方や言葉など、

知らず知らずの内に

馴染みが出てきて

すんなり入ってくるので

自分も少しは

成長していたようですウシシ

 

気になっていた

妹・結と夫・忠兵衛

やっぱり最終巻で登場

 

しばらく

出てこなかったけれど

忠兵衛は

三途の川を渡りそびれた時に

改心していたようで

結も

思いもよらず

あっという間に改心したので

ちょぴり

もの足りなさを感じました

 

菊栄様と惣ぼんが

男女という垣根を払って

戦友のような関係に

なっているのが素敵

 

巻末の

「治兵衛のあきない講座」も

相変わらず

治兵衛の言葉がやわらかで

わかりやすくてホコホコほっこり

 

そうそう、

五鈴屋の暖簾の色は

「青みがかった緑」

とはいうものの

「青みがかった緑」は

何種類もあるので

実際どんな色なのかわからない

 

でも、自分の持ち物は

「青みがかった緑」が多いので

幸と自分の繋がりを

発見したみたいで

一人ニヤニヤしてました

 

幸がもらったお守りから

桂と繋がる!?

 

桂と五鈴屋が

どこかで繋がる!?

 

幸は結と再会する!?

 

菊栄さんに後継者は!?

 

など等

気になる事がまだまだある中で

有難いことに高田さんは

新たなシリーズを

そして

五鈴屋の後継者の物語りを

不定期で紡いでくれると

約束してくれていました

 

文中に出てくる
「万里一空」
 
本来
「世界はどこまでいっても
空は一つ」という考えから
 
どんなに離れていても
同じ空の下にいる・・
とか
目標や目指しているものを
見失わずに努力し続ける・・
という意味で
常日頃幸や賢輔が
口にする言葉

それを定七は父から教えられた
「どんなに遠く離れていても
空はひとつに繋がっている
同じ空の下
いろいろな縁が結ばれて
商売は成り立つのだから
 
人に手を貸せる時は貸して、
借りる時は借りなはれ」と
同じ事に気づいたのです
 
今まさに
地震等災害で困って方々に
自分で出来る事をする、
って事ですね
 
悲しいかな、
政治は裏金問題で
揺れに揺れ
関わった方々には
そもそもそういう気持ちは
微塵もなかったんでしょうね
 
あきない世傳・・
五十鈴屋の
いつでも変わらない商道は
商いに関係のある人は勿論、
人として生きる上で
忘れてはならないもの
なくしてはならないものを
教えてくれています
 
面白くて一気読み
 
一巻から読み直す楽しみが
増えましたキラキラ
 
 

おまけ

 

 

4/6 5:23

日の出5:08 -2

日の入18:06  +1

昼の長さ12h58m +3

⏫14度⏬3度晴れ

道内晴マーク三昧ねー

なりたい自分にちまけいで

4/6

体内年齢:57歳

BMI:22.3

昨日の歩数:7812歩走る人

無事過ごせて感謝音譜

 

    
今日のことば
金銀が町人の氏系図に
なるぞかし
-井原西鶴-