出版社

勉誠出版 

初版発行

2013/2/4

言語

日本語

単行本 (ソフトカバー)‏

272ページ

定価

1980円

ISBN-13

 978-458529533

 

概略

次郎は

貧しいながらも

小学校の代用教員として

働いて

念願の一高進学を

果たした

 

しかし

貧乏生活は変わらず

中学生の

英語家庭教師しつつも

なんとか

生きながらえたが

いつも

空腹と将来の不安に

悩む次郎だった

 

そんなある日

大便所に入って

用を足しながら

そこに広げてある新聞に

目が吸い付いた

 

大賀氏が

戦時中に開運で儲けた

金の一部を奨学金にして

貧しい大学生に

貸与するという

 

自分は

奨学金貸与の条件に

当てはまらないと

悟った次郎は

思いの丈をあらん限り

ぶちまけたところ

なぜか大賀氏は

奨学金貸与を

してくれることに

 

その頃

中学校で図面の担当だった

前川先生は

 

「絵を描くのは好きだけれど

過去の偉大な画家たちに

匹敵しようものを

創れる才能も自信もない

 

それ故

絵を描くことに

生涯をかけてはならない

 

画家にはならずに

自分の為に画く

 

ここに住みついて

中学生の心に

文化の種子を蒔く役を

引き受けて

この土地に文化の育つのを

見守ったら

立派な教育家に

なれると思う

 

多くの教え子の

故郷の象徴になって

故郷を出た諸君から

慕われる人間になったら

素敵だ」

 

と言われ、

そういう生き方も

あるのだと納得する

 

また、

友人・大塚の妹の加寿子との

文のやり取りの中で

自分の加寿子に対する気持ちを

改めて知る事に

 

なんとか一高を卒業し

東大経済学部へ進んだ次郎は

外務省のアルバイトしながら

生活していたが

 

大賀氏から借りた奨学金を

返済しなければならず

途方に暮れていたところ、

 

以前、田部氏から

何か困った事があったら

何でも相談にのる、と

言われた事を思い出し

田部氏を訪ね、

田部氏の養子ではなく

息子になることに同意する

 

大学も外務省のアルバイトも

次郎にとっては

つまらないモノだったが

まずは

食べていく事が優先の

次郎にとって

将来自分がどうすべきか

悩むばかり

 

そんな中、加寿子の父から

「社会主義者」と断定され

今後大塚家とは

一切関わらないようにと

言われるも内密に

加寿子と文を交換する中で

加寿子の次郎に対する

真摯な思いを知る

 

同じ頃兄・一郎から

野口さんの娘の

家庭教師を頼まれるが

 

そこには

実妹・千代が女中として

働いていた事を

初めて知る次郎だった

 

大学では

卒業後の進路を

決める段になり

外交官に

懐疑的だった次郎に、

石田は

フランス語が得意で

文学の才能があるという事で

フランスへ行って

才能を活かす道を

選んだ方が良い、

フランス文学に進むべき、

その為には

外交官になるべき

と言われるも

 

裕福な石田には

次郎の本質的な悩みは

理解できていない事に

失望を覚える

 

そして石田は

石田の叔父である、

野口さんの事を

足蹴にするような

言い方をしていた為

徐々に石田に

反感を持つように・・

 

そんな次郎を田辺氏は

本当の親以上に

温かく広い心で

見守るのだった

 

感想

寄宿舎生活で

自分の居場所は

確保できたものの

相変わらず食べる事に

窮する次郎

 

周囲が裕福なだけに

その気持ちは計り知れない

 

中学の時からの友人・石田も

結局は素地が違う次郎を

卑下していた事が

悲しい

 

加寿子との文のやり取りでは

お互いの気持ちは全く綴らず

終始、文学・政治、

家庭や学校の事ばかり

 

でもやっぱり

言葉の端々に

好意的なニュアンスが

あったと思うし

好意がなければ

やり取りなぞ

しない筈ですよね

 

そうそう、次から次へと

援助者が現れる事に

ビックらポンでした

 

しかも

親になった田辺氏から

「お前を助けても

邪魔はしない」と

言わしめた次郎

 

”育ててやってるんだから

子どもは

親のいう事をきくのが

当たり前”

と思ってる親が多い中

 

ましてやこの時代だと

それが殆どだと思う

 

なのに

見返りを求めず

次郎の心根を

理解してくれた田辺氏は

親の鏡

 

赤の他人に

そう言わせた次郎は

心根が良く

「人たらし」なのかも

 

たかが金銭的な問題で

埋もれさせてはいけない人物、

だと思うから

裕福な自分が

援助してあげなくては・・

と思うのでしょうか

 

田辺氏と親子になれて

本当に良かった

 

次郎の本当の友人は

いつ現れるのか・・

進路は・・

加寿子との恋愛は・・

 

気になるねー

 

おまけ

2/14 7:12

日の出6:35 -1

日の入17:03 +1

昼の長さ10h28m +3

アップ9度ダウン-1度晴れ

昨日10度今日9度おーっ!

なりたい自分にちまけいで

2/14

体内年齢:57歳

BMI:22.0

昨日の歩数:7742歩走る人

無事過ごせて感謝音譜

 

    
今日のことば
人間が
人間として生きていくのに
一番大切なのは、
頭の良し悪しではなく、
心の良し悪しだ。
-中村天風-