そもそも土地の所有権の上に国家、国土、領土がある。土地のない所に領土はない。二百カイリとか地上空域圏など土地に付属した領域も所有対象になるが、こうした領域を含めて、では所有権とは一体に何なのだということである。

 また、土地を所有するというのは個人あるいは団体による共同所有のどちらかだろう。共同所有とは一定の組織体、町会とか村、神社、寺院、地方自治体、会社組織、宗教団体といった法人格組織、国家という行政組織をいうのだろう。この中で総括的な組織が国家ということになる。

 国家は所有権の在り方を法律的に規定している。問題は土地に人が住んでいるかどうかだろう。住んでいれば、誰のものかはっきりしているが、無人の場合、法的に登記された人格が所有者であるが、住んでいなければ、人にとって有用なものではなくなっているから土地台帳という記述的な所有となってしまっている。しかし、土地という不動産に対して税金が課せられている以上、生きた権益を持っているわけである。

 所有というのは相続によって所有者が次々に移転していく。これはいいことであるが、誰にどの土地を譲っていくのか、ここに問題が潜んでいる。あの土地が欲しい、欲しくないといった諸個人の考え方によって土地所有の移転先が大きく変わってくる。国内の国民同士の土地売買ならば、環境問題を省けば、さして問題が生じることもないだろうが、国籍の違う人とか海外の組織体に売却するとなれば、一定の歯止めが必要になってくる。

 それは土地と国土=領土が一体であるからだ。国防とか平和を守るといったことと連動してくる。つまり、国境線、国土としての空域、海域が防衛線になってくるからだ。現にウクライナとロシアの戦争がこのことを如実に証明している。1メートルの土地を巡って、戦車や兵士の銃弾が飛び交って、命がけで戦われているということだ。だから、土地所有を巡る紛争に生死がかかっているということだ。決して、おろそかにしてはならない重大な課題である。

 だから、人が住んでいない土地についての売買に関しては国家が優先交渉権を持つという法律を制定しておくべきだろう。住んでいれば、住んでいる人に交渉権があるとしても、国籍の違う人や団体に売買する場合にも国家が優先権を持つという条項を入れた法律を早急に制定するべきだろう。外国人の所有する土地を日本人の税金で守るわけにはいかないだろうと思う。いかがなものだろうか。