昨日千秋楽を迎えた初場所は見所満載で楽しかったです。初日に比べて千秋楽には随分日脚が伸びています。大相撲が春を呼び寄せているようにも感じます。そんな時に思い出すのは山口瞳の男性自身シリーズの中の「初場所千秋楽」という短文です。

 

「先生は初場所が終わってがっかりしている。力を落としている。先生は、いつでも、親類の娘が死にでもしたような気分だと言われるのである」と綴っています。シリーズの中で高橋義孝先生と相撲見物に行く話しがよく出て来ました。横綱審議会委員長を務めた義孝氏は大相撲が大好きでした。

 

私も子供の頃は栃若や柏鵬の戦いを熱心に追い掛けたものです。友達と相撲を取って遊びもしました。その後の学生時代や社会人の頃には関心が薄くなっていました。外国人力士が覇権を握る時代が長く続いたことも影響していたのかも知れません。

 

でも、この歳になると相撲ってやっぱり良いなと再び思うようになりました。少子高齢化が言われ、外国からの人材に頼らざるを得ない時代がやって来る中、相撲界のように、彼らが日本語を話し、伝統的な様式と文化を受け入れているのを見ると、これからの日本社会の在るべき姿ではないかと思ったりします。

 

照ノ富士の類い希な闘志が見られて良かったです。千秋楽で「伝え反り」の大技を見せた宇良を始め、小兵や伸び盛りの若手が活躍しているのも好もしいです。山口瞳や高橋義孝ほどに入れ込みはしないけれど、琴ノ若や大の里等の大型力士が次世代のスターになるよう応援したい気持ちになっています。