なんとなく手にした文庫本の始めに『夾竹桃』が登場したから、紀田順一郎なら多少は蘊蓄が……と思っていたのに…
というわけで、自前の連想・妄想が始まる。
小学生の頃からの『癖?』みたいなモノで、どんどん物語に引き込んで貰えないと感じた途端に、自分のストーリーが展開し始め、ソレに夢中に成って行く。
つまり、自分が文学少年などでは無いと解っていた。
余程の事がない限り、『小説』に夢中に成れないからだ。
『西遊記』『水滸伝』『シートン…』『ファーブル…』『椿説弓張月』『神州纐纈城』『虚無への供物』………
小学生で寝食を忘れて貪るように読んだ本は本当に少ない。
その分、無理矢理買って貰った『ジャポニカ百科事典』を読んでいた。
多分、読書は『好奇心』の充足の為だったのだ。
『意識の流れ』とか『心情の……』とかは未だ魅力的ではなかった。
ソノ癖が未だに残っていた……!
頭の中は『夾竹桃』で一杯である。
幾つか設計した『植物園』や『野草園』や『薬草園』に必ず『夾竹桃』を植えたこと…
中には「毒草…ですよね?」と心配する人
同じ言葉を発しても、ちょっと嬉しそうに
『コイツ、解ってるな』と思っているだろう人
そんな人とは、共犯感覚まで感じて、今でも大切な友人だ。
あの盛夏に美しい八重の濃いピンクで咲き誇る夾竹桃は葉っぱ数枚で人を殺せる『毒草』である。
オレアンドリンは青酸の50倍の危険な毒素だとか夾竹桃の植えられた土地には数年残留するとかは結構有名だ。
では何故そんな危険な植物を植えたり殖やしたりするのか?
理由は二つしか無い。
『知らしめる』必要が『植物園』『薬草園』には有るから。
と………設計者が『面白いと思った』からだ。
全ての『薬草』は、当然『毒草』である。
『薬草園』は『毒草園』の別称(蔑称)に過ぎない。
櫁(シキミ)や狐躑躅(キツネツツジ)朝鮮朝顔、彼岸花、福寿草etc.
全て人を殺せる植物である。
朝顔の種は最強力な下剤である。
死ぬ方法を知っている
と…納得出来る
秋の夜
優しく…死ねる?
夾竹桃
茹先炊(じょせんすい)