今回は主役視点で話を進めます


王国に夏が来た

夏のオススメ献立はラゴステーキ🥩

この国では、夏だけ釣れる「ラゴ」と呼ばれる魚があるらしい…船旅仲間曰く「見た目は蛙🐸のようで食欲を唆る見た目ではないが、身質は柔らかく肉汁が溢れて非常に美味」との事



確かに食べ応え抜群!


私は一瞬にしてラゴステーキ🐸🥩の虜となった

口内に残った肉汁の余韻を冷やしたワイン🍾で流し込む…あゝ生きていて良かった




お陰で夏バテとは無縁のまま誕生日を迎えた

「1人ご飯も良いけど、こんな時くらいは家族か友達と一緒に」



そんな願いを胸に親友のいる客室へ行ったけど、

忙しいらしい…


でも私は知ってる


アラーナさんが言う所の「用事」と言うのは「意中の人への朝通い」である事を

親友の盃を交わして以来、向こうから声が掛かった事は1度も無い



世間話をしたり何かに誘ったり…

声を掛けるのは、いつも私から



彼女が意中の人と遣り取りをして、2人が完全に離れた事を確認してから声を掛ける

1日たりとも、このペースを乱す事は許されない…

「エナの子に選ばれるぐらいモテるから、誰かに先を越されたくない…」と言った所かな?



でもこの国に根を張ってまで彼に添い遂げる気は無いらしい



「向こうがその気なら此方も…」

私は勝手に吹っ切れた…そして翌日

朝通いを最優先にして…アラーナさんを避ける様にして探索の予定を入れまくり、夜はダンジョンの遺物を市場で換金して宿へ戻り、速攻で寝る



正直アラーナさんだけじゃなくて、他の人とも話す時間が無いくらいに忙しい1日を過ごした



翌朝


「仮にも親友なのに、終日一言も口を聞かないのは流石にマズイ」と思ったのか、初めてアラーナさんから声を掛けてきた

でも声を掛けた場所がマズかった…何と私が朝通いしていた家の中まで入ってきたのだ



そして翌日

彼女は出国した


2人の関係は一時的…それは既に分かっていた事

例え仮初の友人関係でも、もう少し分かり合えていれば…




あの頃の私は余りにも若過ぎた…いや幼過ぎた