DDT 8/21/17 両国国技館 

竹下幸之介×遠藤哲哉;KO-D無差別級選手権

2人の冒険。そこは両国国技館。不慣れに岸を離れ、慣れないステップで踊り始める。確かに燃える闘士と大舞台で無茶をしようという竹下と決してペースを崩さずダークに燃える遠藤。互いの青春が交差して、無理をして、輝く夏の日。好勝負。☆4

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 4/29/17春が燃えた後楽園。8/21/17夏に輝いた両国。物語は主人公は竹下と遠藤という2人に託されました。両国という大舞台にステップの乱れた序盤に一抹の不安を抱えながら、竹下が不安に嘘を吐き捨てるようなダイナミックなバックドロップ。遠藤はその中でマイペースに動けるのに驚きました。竹下が手数で外堀を埋めるのを利用して自身のペースで試合中に生計を立てているようです。竹下の首を攻め始めてから遠藤の加速力。SSPの高さとキレや、スープレックスを着地する姿がダークサイドに堕ちてかつのらりくらりと竹下の対岸に立つ存在として申し分です。中盤以降に試合のBPMが上がっていく中で、不安を拭い去った竹下のパワーのあるワンエッセンスが刺激的。特に高速で角度のついたパワーボムには驚愕。素早い攻防の中にインプラント式のツームストンを繰り出すなど、無茶は招致しで試合の熱量を押し上げます。ただ互いに後楽園の60分フルタイムドローの試合にあった彼らのスキルでは埋められない隙間がどうしてもできてしまいます。歯がゆい試合のBPMの減退。しかし最後まで振り切ろうとする2人のダイナミズムが、ハードヒットな膝や空中技にと思いの力で走り抜こうという彼らの輝ける、乱れる、プロレス的な青春が刻み込まれた好勝負となりました。☆4

 

全日本 7/17/17 後楽園

石川修司×諏訪魔;三冠王座戦

石川の黒のショートタイツに口髭と、これ以上ないほどの彼なりの色気を振りまいてのストロングスタイルファイトにワクワク。全日本を代表する挑戦者である諏訪魔のとにかくラリアットをバックドロップを肉薄する熱量。巨体が投げられる芸術性。好勝負。☆4.25

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 チャンピオンカーニバルの激突のような新鮮さを兼ね備えていませんが、石川修司の黒のショートタイツと口髭と何とも色気だった王者像に、変わることなく全日本で生きる諏訪魔の三冠王者戦というワクワク感で熱が上がる試合は最高ですね。諏訪魔がとにかく勝ちに拘りロープ越しのスリーパーでレフェリーの制止を無視するシーンは、厳格な和田京平レフェリーの引き剥がす野生の味も含め、ボルテージがズンズンと上がっていきます。この勝利を渇望する諏訪魔を嘲笑うかのように、ラリアットやスープレックスに対して起き上がってくる石川が怖いですね。涼しい顔してのファイヤーサンダーや確固たるニーリフト。そしてオカダ・カズチカのリストをとってのレインメーカースタイルからの打撃に、飯伏の人でなしスタイルのニーアタック。石川のメジャーでありインディであったプロレスのごった煮のようなスタイルが、かつてのジャンボ鶴田を模した色気とともにラストへ発奮する姿は愛おしかったです。好勝負。☆4.25

 

全日本 6/11/17 後楽園

諏訪魔×宮原健斗

現全日本においての数え歌になりえるカードですが、今回のシチュエーションは諏訪魔が指を負傷しているという状況下。宮原はベルトを失って王座奪還のためにヒールテイストを混ぜてきますが、前半戦はこじんまり。終盤に向けギアを上げますが、良試合止まり。☆3.5

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 宮原はベルト獲る前の勢い→ベルトを獲った後の王者としての振る舞い→一度王者の味を知っての取り返す側に回ってからのヒールテイストになったとしてもとダークサイドが滲み出てくる姿勢と自己プロデュースのセンスは良いですね。ただ今回は、諏訪魔の指の骨のヒビが入っているシチュエーション。指でなく腕攻めというニュアンスが強く、諏訪魔という歩くダイナミズムに対して、狙うポイントが小さくなりこじんまりしているイメージです。諏訪魔の悲痛な表情とダウン回数もプラスされています。試合構成としては理にかなっているのですが、終盤になって気迫の攻防という定型句に当てはまった印象なんで、試合としては良試合止まりという感じです。宮原の二段式ジャーマンの静止状態の絵作りは目を見張りました。☆3.5

 

EVOLVE 91

マット・リドル×キース・リー×トレイシー・ウィリアムス×ウォルター;WWN王座戦

“プロレス鍋”です。巨漢振りまき肉肉しいリーとウォルターに、スパイス的にスキルと情熱の格闘技スタイル+テクニカルファイターのごった煮。階級という名の国境を無にするプロレスロマン。好勝負。☆4

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 鍋の中に肉しかなかったら?鍋の中が野菜だけだったら?鍋というモノは、肉があり、野菜があり、魚だかしらたきだか何だかが、ごった煮されている食べ物の階級制度撤廃であり、食べ物の無差別級選手権試合であると思います。バベルの塔の如きフィットしてマッチするようなカードだけでなく、巨漢ファイターの重みと、テクニカル&格闘技スタイルの強引なコンタクトは、プロレスという四角いジャングルの中で、弱肉強食というスポーツの現象性と自然の摂理を限りなく際どい角度から穿つロマンを感じてしまう試合でありました。リドルのしなやかな肉体がリーとウォルターの眉山ジャーマンで投げ飛ばされるダイナミズムはこの試合の白眉だと思います。そんな中、王者戦という中でリーとウォルターの肉肉しさと、スパイシーにスキルが火花を散らすリドルとウィリアムスの攻防の妙が楽しかったです。好勝負。☆4

 

Dragon Gate 7/23/17 神戸ワールド記念ホール

鷹木信吾&吉田隆司&エル・リンダマン×堀口元気HAGeeMee&斎藤ジミー了&ジミー・ススム;トライアングルゲート戦

ジミーズは1DAYトーナメントで王座挑戦権を獲得しているわけなので、前半から疲弊感による溜め、後半は気迫の猛攻。この中で光ったのは吉田のセンス。☆3

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 ドラゲーお得意なトリオス王座戦なのですが、挑戦者組がコンディションが良いわけではないため、試合前~序盤の期待感というのは弱いです。ジミーズの連携を悉く鷹木らが潰すためどうにもテンポ感が良いわけでなく、クライマックスのジミーズ猛攻のカタルシス待ちです。しかしその中で光ったのは吉田隆司のマスクをとった後の表情や勢い演出のセンス。相手が立つのを待ってしまうリンダマンのテンポの遅さが目立ちましたが、吉田はマスクをとって改変キャラ後のブーストも相まって生き生きしていました。☆3

 

 

Dragon Gate 7/23/17 神戸ワールド記念ホール

CIMA&ドラゴンキッド×土井成樹&吉野正人;ツインゲート王座戦

ドラゲーの配置図を完璧にしてトリガー引いてピタゴラスイッチ的にハメ込んでいく攻防が気持ち良いですね。ベテランタッグと盟友タッグというドラゲーの攻防の中でもかなり上品な流れるような攻防に酔いしれる好勝負。☆4.25

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 爆発的なラッシュや破壊的な大技合戦はベテラン組同士のタッグ王座戦では成りを抑制しますが、しなやかさとスピード感、そして次の技とさらにその次と配置を几帳面に設定したのちのトリガーを引くタイミングは毎回驚かされます。土井吉は2人が聳え立つだけで存在感と色気が堪らないですね。衰えながらも衰え知らず感を誇るキッドのルチャムーヴと腐り知らずのCIMAのジャべの捕獲する絵と受け身のオーバーアクト。カタルシス的な攻防の発火点はないものの機能美を追求したような一進一退は格が違いましたね。好勝負。☆4.25

 

 

Dragon Gate 7/23/17 神戸ワールド記念ホール

YAMATO×T-Hawk;ドリームゲート戦

互いに打撃のヒッティングに対するセンスが極まっている印象です。エモーショナルにエモーショナルに打撃を走らせます。逆水平や膝蹴り、ドロップキックと積み上げるのですが、試合自体はビッグマッチ仕様に間延びした内容。総じて良試合。☆3.5

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 年間最大のイベントである神戸ワールド大会にYAMATOT-Hawkという世代のブリッジである2人の勝負をドラマチックに演出しようという気概を感じます。ただ大舞台=30分近い熱戦という固定観念を壊してしまえばと思ってしまう内容。互いの組み付きや部位攻めというドラゲー内での様式美もあるのですが、同じか似た技のローテーションのような構成が助長感を出してしまってます。しかし互いに特別な世界を作ろうとエモーショナルにエモーショナルに打撃のヒッティングを撃ちあうのはハイライトとしてかなり印象的。YAMATOの相手の上を行こうとする逆水平の走り、ドロップキックのキレ、そして胸を突きだして相手の逆水平を受けに行く気迫、対してT-Hawkの得意の逆水平、そして膝蹴りケルベロスの重さ、終盤でも打つ逆水平と打撃のヒッティングはビッグマッチの世界観に調和してました。試合の濃縮率が高くなく、最後は単なる技の連発という印象でした。ここにエモーションを詰められればという内容。良試合。☆3.5