「行くならついでに、お米、サラダ菜、パイナップル、ミカンもね。」が買い物リスト。駄賃は25€。

 

リュックを背負って「じゃあ、行ってくる。」と出かけた。13時28分。ほぼ無風。それでも頬に触れる空気はチョッと刺す。吐息が液化して口髭を濡らす。気温摂氏マイナス2℃

買い出しを快く引き受けたのは、タバコをを切らしてしまったからだった。

 

折角の雪景色なので森の道を選んで行くことにした。雪はまだ5㎝くらい積もったままで、昨日も晴れていたのに気温がさほど上がらなかったのだろう、あまり溶けていなかった。

自分が最初にこの道を歩くんだろうなと思っていたら、すでに誰かが歩いていて残念だった。

処女がいいとか言ってる変態と思考はあまり違いがないかも。我ながらやばい性格をしてる。

 

森を過ぎて畑沿いの道を進んで県道に出ると車の往来ばかりで生身の人間には出会わない。たまにすれ違う人があってもトレーニングウェアをまとってジョギングする人やストックを振りながら歩く健康管理族だった。

合理性を重視する現代社会において、なんと不合理なことをしている。ただ走ってただ歩くなんて。そんな無駄なことはせず、リュックを背負って買い物に行こう。そして車で移動する諸君、車を捨てて移動手段を歩行にすれば一石二鳥ではないか。ジムなんかで走らず歩かず持ち上げず、ぼくの様にリュックを背負って買い物に行こう。

車を失った者の僻み根性で彼らを眺める。

 

ロータリーを過ぎ、橋を渡り二つ目のロータリーを通り越し右の教会を横目に直進するといよいよ街に入る。そのまま、新興住宅地を通過すればスーパーマーケットはある。

けれども、タバコは旧市街のカフェで扱っているので、左折してレプブリック広場を横断し200メートルほど進み、カフェで刻みタバコ30 gと巻紙 100枚入りを購入。カードタッチ支払い。

 

「タバコはいつから値上げ?」と聞けば、「もう値上げしちゃってるよ。」と返答された。

レシートを確認すると確かに15.80€。暮れより1.10€も値があがっている。

ホント、これはもう無理だわ。喫煙はもうこの一袋っきりにしなきゃいけないな。そう思った。

第一、一応家族には未成年者のように内緒で吸っているのだから。

妻なんかはもう諦めているみたいだけど、たまに来る娘からは「タバコ吸ったでしょ !」と来る度に睨まれる。

 

薬局に寄る。

処方箋と国営健康保険カードと私営保険カードを提示。脳卒中で倒れて以降、再発を防ぐために定期的に購入している妻の薬ゲット。無料。

 

道筋で少年二人が雪合戦をしている。

彼らの流れ弾が当たらなければいいなと懸念していたけど、取り越し苦労であった。すれ違いざま挨拶される。なので挨拶を返す。通り過ぎるとまた乱暴に投げ合っていた。

 

彼らも犬かも。

 

(しつこいようだけど、まだ) つづく...