ますますロボット化が進んで、電子化が進んで、人と対応が少なくなった気がする。

それはそんなに困ることではないけれど、なんかどうも日常生活が厳格と言うか緊張と言うか余裕がなくなっちゃった感じがするのは、ぼくだけだろうか?

 

先週から台所のペンキ塗りを始めた。

ペンキが足りなくなってしまって、残りの壁面はあとわずかなんだけど、まあ仕方がないのでLeroy Merlinというホームセンターに出かけた。

折角来たんだからと思って、ペンキ以外にも電気配線用具、下水工事用具、照明器具などを加えたら結構な値段になった。

それぞれの契約内容にもよるのだろうけど、ぼくのカードは、1回のタッチ決済の上限が50€である。

その日はもう優に倍は越えていて、暗証番号を入力しなければならなかった。普段はタッチ決済で済ましていた訳だから、ホンともう暗証番号入力するのなんか数ヶ月振りであった。

そのうえ、最近いろんな機関がアカウントを作ることを推奨してきて、その流れに乗って作るんだけどその数だけ暗証番号やパスワードやセキュリティコードが増えて、もうソラで覚えていられない。

2度間違えて、3度目(これが最後のチャンスなんだけど)迷っていると、係りのおねえさんが「何かお手伝いしましょうか?」と近寄ってきた。

親切でいってくれてるのだけど、「ぼくの記憶を正して欲しい」とも言えなくて、「いや、ちょっと、度忘れと言うかなんか番号の順番がハッキリしな...」みたいな感じでモゴモゴ言うものだから、機械の操作に困っていると勘違いしていたのだろうと思う。

彼女は画面を確認して、

「大丈夫ですよ、チャンと手続きは出来てるから、カードを入れて、お支払できますよ。向こう向いてるから暗証番号入力して下さい。」とぐいぐい来る。

 

もう急性認知症状態。

 

4桁の数字を入力して、勇気を絞ってOKボタンを押すと「間違い」が表示された。

 

「チョッと待って、今のなし!」と焦っても後の祭り。

この瞬間からぼくのVISAカードは全世界のATMおよび店舗で使用不能となった。瞬時の連対と連動、AI恐るべし。そして懇願とか待ったを一切受け付けない毅然とした態度。

 

人が管理していた一昔前のパーキングなら、10分くらい超過しても「10分くらいだから、まあいいか。」で済まされていたのが今は、30分〜1時間の超過料金をとられるのは当たり前。

人が管理していた一昔前の事務なら、滞納していた支払いを「納期日前の日付で小切手切ってくれればいいわよ。」で済ましてくれていたのに、今は数パーセント上積みしてくる。

AIは情け容赦ないのである。

今後AIが学校の先生なんかになったりして、宿題の期日の厳格性が確立したらと想像すると、将来の子供たちの事が心配になる。

 

この先AIの開発に携わる人にお願いしたい。寛容でやさしい柔軟な対応ができるAIを開発して欲しい。

ちょっとくらい間違いをおかしても、

「まあ、人間ならやりかねないですね。」

くらいの事を言ってくれるような。