「あらご隠居、遅いお目覚めでございますね。で今日のご予定は?」

 

無職の年寄りにこういう嫌味を言う。

うん...とか、まあ...とか適当にごまかして、まだ頭が冴えないからとりあえずコーヒーを沸かす。

「ここしばらく天気はよろしい様ですよ。」

言葉が丁寧な時は要注意である。重圧をひしひしと感じる。嵐の前触れである。

なんとなく自分に向けられた不満の矛先を変えようと、冴えきらない頭で必死に模索した。

「そうそう、そう言えばこの前、Y先生とN先生の対談でジャガイモなんかは耕さない畑に適当に埋めておけば勝手に育つそうだって言ってた。今それを試してるんだ。後で様子を見に行ってくる。」

眉間のシワが消え、表情が和らいだ。彼女はお二方の信望者だから。

 

しかし結果は前回記述した通りで、そのことを報告すると、

「Y先生も猪のことまでは、頭が回らなかったみたいね。」とゲラゲラ笑って楽しそうだった。彼女が笑って楽しんで幸せなら、ぼくも幸せなんだけど...、

 

でも、なんか違う!

 

もし、これがぼくの独断による行為だったら、対策を怠ったぼくは相当責められただろう。


彼女が思ってるほどそんなにサボっていた訳じゃない。

キッチンガーデンにはトマト(苗)、春菊(昨年収穫種)、さやいんげん(種)、サラダ菜(種)をじか撒きした。

枝豆(昨年収穫種)、トウモロコシ(種)、栗カボチャ(種)、キュウリ(種)、日本カボチャ(種)、ゴボウ(種)、クルジェット(種)、パクチー(種)、ホオヅキ(種)は培養ポットに撒いておいた。


10日過ぎて発芽が確認できたものは、春菊、さやいんげん、サラダ菜、枝豆、トウモロコシ、クルジェットであった。

キュウリ、カボチャ系、ホオヅキ、パクチー、ゴボウにおいては水を過剰に与えすぎたかもしれない。


例年に比べ一ヶ月以上遅れをとってしまった。


近年温暖化とかいって悲観的な思考が主流であるけど、続いてくれれば収穫はチョッとは期待できるんだけど、今年はどうも冷夏っぽい。