2週間ほど家を空け、戻ってきてからも雨が続き気温も上がらず、漸く晴れたかと思ったら今度は3週間雨は降らずというか日照りが続き、湿っているときは粘土の様な重さで、渇くと岩石のような堅さの土はホンと扱いずらく、辟易していた。

 

そんなとき、学者の対談をYouTube配信でボーッと見ていて、その先生の発言に、

「...曰く、ジャガイモなんてものは耕さない畑に適当に埋めておけば、...ってできているものなんですよ...」

と言うのをちらっと耳に留めて、よしこれだ! と手鼓を打った。

 

というのも食べ忘れたジャガイモが残っていて、それももうかなり芽を出して、食べるには萎れて過ぎていて、妻に見つかると「ああ、もうまたっ!食べもんを無駄にして。」とか叱られるから、隠していた1キロほどを、早速埋めてしまおうと翌早朝実行に移した。

 

数日後、期待に満ちて様子を見にいくと愕然とした。

全て掘り起こされて跡形もない。

 

猪だ!

 

中学生時代の理科の授業を思い出した。重力作用に置ける物質の落下速度だった。「鉄の玉も鳥の羽も同時に床に着地する、ただし空気抵抗を考慮しなければと言う条件付きで。」だったと思う。

 

空気抵抗と同様、畑における猪、あるいは鹿、うさぎ、狐、もぐら、鳶かカラスかカモメ、(年寄りの先入観で悪意をもって疑えば)近所の子供たちのいたずら、総じて「原始生物生態的抵抗」を考慮しなければいけないことを改めて悟った。

 

翻弄され、怠けて、気を取り直し、ようやく畑を耕し終えたのはつい数日前、6月中旬を過ぎての事だった。


ケモノ道は確かにあった。