「この土地でこの気候じゃ茄子は難しいぞ。」と以前、隣人のアンリーさんが言っていて、十数年前に試したときもその通り失敗した。

 

 ところが地球温暖化のせいか、年々夏が厳しい熱さになってきていたので、じゃあ今年は茄子を再度挑戦して見ようと発育の良い苗を6株、四月の下旬に購入して植えてみた。成功したら天に召されたアンリーさんに、

 

「いつも、やるまえから無駄だと決めつけていたんじゃだめだぜ」と言ってやりたかった。

 

 幸い四月五月と霜も降りず夏を待ち受けていたら、トマトが全滅したことは既に書いたけどあいにくの冷夏の長雨であった。時々畑を見には行っていたが、八月に入っても一向に丈は伸びず半ば諦めかけていた。

 

 八月下旬になるとようやく晴れる日が続き、数日であっても30℃を越える日もあった。それが九月中旬まで続いただろうか、庭の草刈りついでに畑をチラッと眺めると、ややっ、六つある苗のうち一つだけが膝上くらいの丈にまで成長していて、それも小さな実を一つ付けているではないか。

 

 

 さっそく収穫して、焼きナスにしておろし生姜に生醤油をかけて食べた。

 

 本当に、まさにこれが食べたかったのである。

 

 市販の洋茄子はでかくて実がスカスカしていて皮が厚い。そして火の通りが悪いから油を多く使ったり、オーブンに長時間かけたり調理に手間がかかる。まあ、それはそれなりにおいしく頂ける料理は存在していて文句を言う訳じゃないけど、こんな簡単でうまい料理はそう滅多にあるもんじゃない。

 

 日本に行って戻ってきた友人が一様に驚いている感想がある。

 それはメロンがベラボウに高いと言う事であった。

 

 昔聞いたところによると日本のメロンは一株に実を一つ付けるように栽培していると言うことで単価が高くなるらしい。フランスでは主流はスペインものであるが、旬の時期には一つ約100円前後で購入できる。メロンの種類は違うかもしれないが、メロンもカボチャやクルジェットと同じく放っとけばボコボコ勝手に増えてくるものだからであるからである。

 メロンが安くなっては困る、何かしらの理由が日本にはあるのかも知れない。

 まあ、それはどうでもいいことだけど、今年の我が家のナスは全くその例に値し、一つ1万円の価値はあろうかと推測するのであった。

 

 こんんな美味しいくて高価なものを前にしたら、流石に意地悪なお姑さんが言いそうだな文句だなあと思った。

 

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ボコボコできると言い切った、メロンではあるが。

我が家では…、

 

 

 今年は暑くなると思って、メロンも試してみた。

 結果は、マウスと並べて大きさが分かると思いますが、この程度が3つくらいできた程度でありました。

 味は、メロンとは主張し難く、希少価値とはいえ高価な値を付けることをはばかります。