アボカ(avocat)という果実がある。日本ではアボカドと呼ばれるらしい。フランスの市場で出回っているものはイスラエル産であったりペルー産であったりする。フランス産、ヨーロッパ産がないところをみると、よくは知らないが高温多湿を好む植物だろうと思う。

 ただ、果肉を食べた後に残った大粒の種を、水に浸し芽を育て観葉植物として楽しむことも良くされる。しかし、個人的な経験から言わせてもらうと発芽率は10 %に満たない。ずぼらで手入れを怠って、浸した水が枯れていたり水が濁って腐っていたりしたためかもしれない。

 

 腐葉土を作るため生ごみや枯れ葉、刈り取った草などを貯めておく場所があって、多分その生ごみに混じっていたのだろう、発芽して茎を伸ばし葉まで備え付けているアボカの木を見つけた。すばらしい生命力である。

 端正に手間暇かけて大事に育てた植物が良い結果をのこせず、無造作にほったらかしたものが結果を残す。

 

 こういうことは良くある。

 春に食べ残したトマトが今頃になって芽を吹き出したり、かつて飼っていた猫を3-4ヶ月家を空け、ほったらかしにしていたら、野性化して野うさぎや鼠を狩猟して生き延びていたり、もう何をしてよいか分からずに描いた絵が意外と評価を得たり、せっかくの努力の甲斐のないことが起こって。

 もともと努力が嫌いな上にこういう事が頻繁に起こると、ぼくを甘やかし一層怠け者に仕立てていく。