Courgette (クルジェット) フランス語ではこう呼ぶ作物はズッキーニの事である。
 ズッキーニ(Zucchini)は音韻から察すると、どうもイタリア語っぽい感じがする。細長くキュウリに似た形態のこの食物はキュウリ程水分はなく、生で食べるには適さない。大概「ラタトゥイユ」など煮込みに用いられ加熱して食べる。毎日「ラタトゥイユ」を食べる習慣がないぼくには、たまにあれば十分な食材である。そして、普通市販されているものは長さ20~30㎝程度太さは直径せいぜい5㎝くらいの物なのに、我が家の畑で大量に出現したのは60㎝太さも14~20㎝にも及ぶ。一本を手に抱えて持ち運ぶのに大人でも十分な重さである。普通のサイズでもたまにしか食べないものが我が家には巨大化して大量に存在する。

「さてどうしようか」迷った。

 かつて少年の頃、ぼくは信州の山奥に滞在していたことがあった。そこで出されたみそ汁の具に驚いたことがあった。キュウリのようなものが入っていたあからである。

 

 「これはキュウリですか?」と訊くと「ユウガオ」であると言う。

 その「ユウガオ」の実物を見せられるとそれは巨大なキュウリであった。この瓜を桂むきにして干し、干瓢にするらしい。

 干瓢と言えば代表的料理は何と言ってもお寿司の海苔巻きである。寿司飯や海苔に支えられた主役である。
 単体では、小腹の空いた時のおやつの主役である稲荷寿司と人気を二分している。
 寿司チームにおいて、寿司桶に入った握り一人前の中で、かっぱ巻きと共に長年チームに貢献している、或いはしていた。特に子供には、大人が食べ残した寿司桶の中で絶大な支持を得ていた(昭和30年代個人的な統計による)。

 思い出に耽っていたら、かんぴょう巻きが無性に食べたくなった。