直径10㎝にもなる太い幹の蔦が絡んだ石垣の塀のその蔦の除去をしたら石垣が崩れて、ああなるほど数十年石垣はそれ自体で支えてきたのではなく、蔦によって支えられていたのだと気が付いた。
 そこを第二の門と呼んでいる。

 その門の前に誰かが野糞をたれていた。

 崩れたままだと丸見えなので、簾で塞いでいるから、昔よく海の家とかに見た簡易トイレの目隠しと間違えたのかも知れない。尻を紙で拭いたのだろう、ティッシュペーパーが脇にあるから犬や猫じゃなく人間の行為とみる。

 流石にその現場を写真で公表するには気が引けるので、野菊の写真を代わりとした。
 

 

 

 

 ぼくの住む集落の入口に「監視カメラ設置」と言う看板がいつの間にか立てられていた。散歩をしていて気が付いた。 理由は何だろう?
 この集落で犯罪が多発しているという噂は聞かないし、被害にあったという例もない。たかだか50人くらいの老人しかいない小さな集落である。

 田舎の、人気のない森で散歩中の女性が行方不明になるというニュースを稀に耳にする。
 そんなニュースを聞くと妻が不安がり怯える。
 だけど、ぼくが思うに、誰がいつ通るかわからない幾つにも枝分かれた小道のどこを通るかわからない場所に潜んで、一体誰が犯罪を犯そうとするのか、その心理の方が分からない。もしそういう人がいて、犯罪を犯そうとする強い信念は、方向さえ間違わなければ、優れた結果を導き出す信念だろうと思う。
 そういう人間がこの世にどのくらい存在するのだろうか?確立としては相当低いものだろうと思う。
 それでも安心できない集落の住人達が「監視カメラ設置」を市に要請したのかも知れない。

 

 だけど、映っているものはせいぜいキツネや猪、鹿や雉、野兎や鷹、近所を徘徊している野良猫くらいの物だろうと思う。
 もしかしたら先日の腹を下したハイカーの恥ずかしい姿も映し出されているかもしれない。生理現象はこれはもう自然の摂理であるから仕方のない事として容認できるが、できるなら排便後の処理はティッシュペーパーを使わず草の葉や木の葉を使っていただきたかった。

 

 フランスの携帯ティッシュペーパーは生地が厚くなかなか水に溶けにくい。紙には漂白剤が含まれているから多分バクテリアによる分解も時間が掛かるだろう。