海鮮盛りつけ
クリスマスにフランス人家族と食事を共にしたことがないので、実際なにをその日食べているのか詳しくは知らない。
鶏とか七面鳥の丸焼きの事はよく聞く。ぼくは鳥全般が苦手なので、招かれないのは幸いである。
「羽毛をムシって、ハラワタを引きずり出していて、卵が見つかると、わぁー、ヤッターって思うの。」、とニコニコしながら言われると、後ずさりしたくなる。
ぼくが鶏を苦手だということを伝えると、宗教的な理由からか?と聞かれる。
そうじゃなくて、あの肌と言うか鱗、瞼が下から塞がる視線、人に似た形態、食べたら恨まれるような気がして嫌だな、とは言えないから、「なんとなく」 と答える。
でも、鶏がらスープのラーメンは大好物であります。できたら表示に「鶏がら」は外して欲しいですが。
うちはクリスマスだからと言って特別な料理は作らない。
もう娘も、いないし。
でも、皆がせわしく動き回っている様子を報道されると、やはり世の中が浮足立っている所為か、今、買わなきゃ商品がなくなるような、時代に乗り遅れるような、ぼくたちもなんかするべきなのか? そんな焦燥感が生まれ、いつもと違うものが食べたくなるような、そんな気も起こり、
「じゃあ、鯛の刺身でも食おう」、
ということになり、珍しく外出し、スーパーに出かけた。
このコロナ騒動の時期、買い物はほとんどネットで注文し、てドライブスルーに取りに行くことにしている。
でもそれだと、生ものには制限がある。特に生魚は手に入らない。
で、何故「鯛」かと言うと、鯛はトルコとかギリシャで養殖されていて比較的安い。12€/kg 程度で手に入る。1 kgと言うと、大体40-50センチくらいのが一尾である。
だけどスーパーに行ってみて、すっかり忘れていたことを思い出した。何十年と毎年同じ失敗を繰り返す。
このクリスマスの時期、スーパーの魚売り場に陳列するのは、えびとか手長エビ、ザリガニとか伊勢海老とか巻貝とか、魚があったとしてもそれは鮭で、また主にスモークサーモン。そして箱売りの生牡蠣である。
鯛は、どこを探しても見つからない。
詰まり、フランスの一般家庭でクリスマスのこの時期食べる食事の一つに、たとえクリスマスに人のうちに御呼ばれしなくても、エビとかザリガニとか伊勢海老とか巻貝とか生牡蠣が食卓に並べられているだろう、ということが推測できる。
そして、うちでは毎年クリスマスのこの時期、生牡蠣を食べていることを、改めて思い出した。
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知人数人でレストランに行くと、これを注文したがる人がいて、
- Crevettes エビ、多分甘えび。茹でてある。背ワタが残っている場合多し、されどエビみ そも吸って食べられるゆえ、良。
- Gambas 少し大きめのエビ、多分ブラックタイガー。当然茹でてある。背ワタが残って いる場合多し。人に譲ることが多い。
- Homard 昭和の中頃には東京近郊の沼や池によく見かけたアメリカザリガニのもっと 大きな奴。子供の頃よく無暗に捕まえては死なせたので懺悔の意味も込め て食べない。食べたことがない。
- Langouste 伊勢海老、年上の知人と行くときは遠慮して手を出さない、年下と行く時は 高価なので省いてもらう。食べたことがない。
- Langoustine 手長エビ、ハサミはスカスカで、胴体は短いので食べる所があまりない、 格好だけ。
- Bulots 中ぐらいの巻貝、多分ツブ貝。煮ると結構臭い。臭みが抜けていれば、酒の つまみに良。
- Bigorneaux 小さな巻貝、金属の楊枝みたいなのでほじくって食べる。疲れる。おつまみ には、まあまあ。
- Tourteau 胴体と言うか頭と言うか、それがでっかいカニ、カニみそが多くて絶品。数 人で食べる場合、誰がそれを手にするか揉める。
「おれはぁ、かなりのもの手ぇを出してないんだからぁ、カニの半身くらい譲れよ。」、と主張するも、ほぼ全員の目的がこれだから、主張が通ることはない。
- Palourdes ハマグリもどき。生でワタなんかも付いたまま出されている。いつ開けたか わからないので、人に譲る。
- Huître 牡蠣、開けっ放しで数十分放置されているので、目の前で開けてもらわない 限り手を出さない。人に譲る。
- Coque 大きさは1-2センチ程度の2枚貝。いくら塩水につけて砂出し仕様にも、砂 が口の中でいつまでも残る。ぼくは個人的に「砂貝」と名付けている。他人に 譲る。
などが並べられるようです。