アペロ: プチ・ロベール辞書(1984年版) にこの単語の記載なし。

フランス俗語辞典(1980年版:田辺貞之助編集:駿河台出版)にこの単語の記載なし。

 

 数年前、妻がまだ脳卒中で倒れる前、婦人会から戻ってくると「今日はアペロを作ってきたぜ。」とニコニコしながら話しかけてきた。

 わざとぞんざいな口の聞き方をしたのは、若者っぽく振る舞いたかったのだという。若者は摘みを取りながら酒を飲むからだそうだ。

 「年寄りだって酒を飲む時は摘みを食べるぜ。」と言うと、

 「年寄りの摘みはボリュウムに欠ける。若い子たちはもうムシャムシャ食うものを好むから、今日はそういうのを作ってきたの。」と言って自慢気だった。

 

 その時、40年住んでいて「アペロ」を初めて聞いた。

 もっとも、40年住んでて語彙は全然増えないし、必要以上のことは話せない。必要とは、「イエス」か「ノー」という、そんな分類の単語のことであります。

 

 どの国でも正式な食事作法というものがあるようで、懐石なんかも、もう難しそうである。

 フランス料理も正式な所は行ったことがないので知らないが、普通の定食屋でも、前菜・主品・デザートとセットになって今日のメニューとなる。

 その前菜の前に飲むのがアペリティフで甘ったるい酒が多い。その時摘むものをアペロというのかも知れない。

 

 でも、なんとなく若者が最近作ったっぽい感じがする。

 

 晩飯を作るのが面倒だった。

 なんかないものかと冷蔵庫の中を探ると、「タルト生地・オリーブ・マッシュルーム・生ハム・固形パルメザンチーズ」を見つけたので、これらを使って簡単に済ますことにした。

 タルト生地を広げ好きな食材を並べて敷、海苔巻きのように巻く。

 切りやすくするため冷凍庫で1時間ほど冷やす。

 冷凍庫から出したら、輪切りにして、鉄板に並べオーブンに入れ、20〜30分くらい焼けば出来上がり。

 仕込みの手間は10分程度。薪ストーブが暖まっていたので、それを利用した。

 

 本当に只のおつまみ。ほぼスナック。晩飯がこれだと、酒がないと虚しい。