© National Taiwan Museum of Fine Arts


台湾国立美術館で毎年この時期に開催されている「国際科技芸術展」

2014年のテーマは
奇幻視界
WONDER OF FANTASY


ようするにメディアアートの祭典です。
この展示に際しての前説が、
翻訳機に入れるととても難しい言い回しで
租借に時間を要するな...ということで
私が気に入った作品、おもしろかったものをご紹介します。

全16アーティスト(うち1点はパフォーマンス)のなかで
一番最初の部屋に展示されていたのが、
三上晴子さんの「Desire Of Codes」

YCAMやICCでも展示されていたようなのですが
私は初見だったのでとてもたのしかったです。

長い上に無音なので退屈かもしれませんが
一番綺麗に撮れているのでこのYCAMの映像をご覧ください。


©YCAMArchives

部屋に入ると右手にヘキサゴンのスクリーンがあり、
その向かいにライトの壁があります。
この触手のようなライトにはカメラがあり、
絶えず鑑賞者を追いかけます。

天井からは有機的な動きで鑑賞者を捉えるカメラが数台。
忙しそうに動き回っては、来場者の姿をキャッチしています。

この作品は、天井部、背面部の2箇所の目によって監視され、
さらに目前のヘキサゴンスクリーンは、
その二つの目によって捉えられた鑑賞者を観察しています。
その他ランダムに映し出される世界中の映像などがフラッシュします。

スクリーンを見ていると、自分が映っているにも関わらず
それは全く違うものとして認識され、
その中に取り込まれているような気分になりました。
全てを記録し、取り込む。

人間の脳には限界があります。
覚えておきたいシーンや思い出がフォルダごとにキレイに分類され、
好きなときに呼び出せるような都合のよいものには出来ていません。
そして記憶を補完するために、私たちは写真や動画を撮ったりします。

もし、日常を全て記録され、どこかに収納されていたとしたら。
恐ろしいですね。
でも素敵な瞬間は全部記録して、眺めていたいものです。
その欲望がここに詰まっているのかな。

整理されていない人の頭の中というのは、
このスクリーンのように
記憶がランダムにフラッシュしているのかもしれません。
今の自分、少し前の自分、どこかにいた自分、全く別の場所...

一方向を見ているようでも、人の視界は案外広い。
実は自分が見ていたことに気づかなかった何かも、
私たちの脳のどこかで情報として刻まれているのかも。
なんて考えたり。
不思議な気持ちになる作品でした。

作品が気になった方はぜひICCやYCAMのHPを覗いてみて下さい。
解説もあります。

ICC
http://www.ntticc.or.jp/Archive/2011/Desire_of_Codes/index_j.html


YCAM
http://doc.ycam.jp/work/