$Li zhi と夜の噴水
ジャン・シメオン・シャルダン《木いちごの籠》 1760年頃 油彩、画布 38×46cm 個人蔵
©RMN-GP / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF- DNPartcom


この

木いちごの絵のチラシを見た途端、恋に落ちました


手前の白いカーネーションが浮き上がってるように見えませんか...?

そしてふわっと温かい体温を感じるような空気感がただよっています



シャルダンという名前を聞いても

全くピンときませんでした

日本で初めての大規模な展示だそうです


真面目な油彩なんてそんなに見なくなったのだけど

この絵はなんとも引き込まれるものがある


チラシにも1/2スペースを使って、バーンとレイアウトされていたし

HPもこの作品がドーンと現れるので

印象が強かったのだけど

実物はそこまで大きな作品ではなく

こじんまりとしていました


展示されていた場所も、ほんとうに

ぽつん

とある感じ


それは彼の作品の全てに感じるものでした


「控えめ」なのです



前回Katagami展を見にいったとき、

あまりの作品数にちょっと疲れてしまったのだけど

今回はそこまでたくさんの数がなく

前回の展示よりも空間を生かせていたと思います

壁に添えられた色も素敵でした

濃いめの深緑


やっぱりこの建物のよさを十分に使った展示がいいですね

中に入ると、迷路みたいに小部屋をどんどん進んで行く展示室だから



対作品を見比べたり

小作品を近くで観て

また離れて


一つ一つの作品をゆっくりと堪能することが出来ました


シャルダンの描くリアリズム....

でもどこかユルいんです

写実であって、抽象でもあるような

ちょっとアールがおかしなことになってる部分もあったし



結局のところ

私たちは目の前にある、その「物」を見て

それを見たまま表現しようとしても

脳の記憶には限界があり

私のように、技術の乏しい人間には

「見たものそのまま」を表現することは不可能です

写真のようにはならず、創作になります


シャルダンの作品は私の知っている写実を飛び越えた写実でした

狩られた兎がいようとも、籠に詰まれた木いちごがあろうとも

背景の冷たそうな壁ですら、温かみを感じました

シャルダンの目で見たものなのでしょうね

柔らかいシャルダンの視点、それに尽きます


色々言いたいことはあるのだけど

私は批評家ではないのでこのへんで

HPがすごく素敵で、シャルダンのことを細かく書いているので

ぜひ見てみて下さい


Chardin展(三菱一号館美術館)
http://mimt.jp/chardin/