小学三年から中学卒業するまで

気象ラジオを聴いて

等圧線を地形図に書くのが

寝る前のルーティンだった。


翌朝の天気予報で答え合わせをして

うまく描けると嬉しかった。


今はその下で何が起きているのか

分かっているけど。

あの頃は込み入った等圧線を見ると

強い風が吹くぞーなんて

わくわくしたりしていた。


地図屋さんに地形図を買い行くのが

楽しみだった。

おじさんはいつも優しかったし

海図の話を聞くのが楽しみだった。


この話をすると皆(何が楽しいの?)って云う。

同じ趣味の人に会ったこともなかった。

Tさんに会うまで。


今日、病院の帰り道

散歩をしていたら金木犀の香りがして

思い出した。

気象ラジオの思い出話をしながら飲んだ

Tさんが作ってくれた金木犀ソーダの味。


作り方を教えてもらえばよかったな。

眠れない夜に焚いてくれた

ネロリのブレンドも聞いておけばよかった。


今日の気圧配置で頭が割れそうだから

Tさんがよく作ってくれた

頭を柔らかくしてくれる

バッカスホットミルクを作ります。

そんな季節なんだね。