愛ちゃんからの最後の手紙を
川に流しました。
きらきら光る川面に
手紙を離すワタシの手に
迷いはありませんでした。
愛ちゃんが自分の首にホースを巻いた
あの夏の日。
ワタシは愛ちゃんを守ると
自分に誓ったのに裏切ってしまった。
そんなワタシに最後まで愛を届けてくれた。
カズさんと愛ちゃんを裏切ったのは
「ワタシに大切にしたい人が出来たからです」
と最後まで云い続けることが
弱いワタシは出来ませんでした。
裏切って苦しめて
裏切ったワタシを許そうとまた苦しめた。
愛ちゃんからあの人への手紙も流しました。
渡せなくてごめんね。
「カズは○○君を許しています。
あなたがめぐを許してください。
苦しくて何も言えないときは
ただ、めぐの名前を呼んでください。
いつか皆で会いましょう。」
愛ちゃんが亡くなって
携帯電話を解約した時に
残っていたあの人とのメールを見た。
「彼女を幸せにしたかった」
と云ったあの夏には
日本に来た愛ちゃんに
「会えませんか」とメールしていた。
ワタシを避け出した秋には
ワタシと話し合ってという愛ちゃんに
「もう連絡はやめてくれないか」と
あの人が送ったメールが残っていました。
ワタシの裏切りに愛ちゃんを
最後まで巻き込んでしまったことを知り。
そんなワタシに愛ちゃんが5年後に届く手紙を残してくれたことを知り。
消えようと決めていたことを先送りして
生きて待つことを決めました。
優しい手紙を残してくれた愛ちゃんに
ワタシは最後まで何も出来ずに
あの人に伝言を伝えることも出来なかった。
見えなくなるまで手紙を見送りました。
これが今のワタシに出来る精一杯です。
愛ちゃんありがとう。
ごめんね。
あの全てお見通しの顔で
笑ってくれたら嬉しいな。