ワタシが払った慰謝料は

カズさんと同じ病気の小児患者への

支援団体に寄付していたそうです。


カズさんが設けた条件がクリアされたら

それまでに払った慰謝料は

ワタシに返すつもりだったそうです。


慰謝料を取り下げる条件を

クリア出来ないとご両親が判断した時に

寄付をしようと決めたそうです。


カズさんの企てなんて思いもしなかったから

お金の行方を考えた事は何度かありました。

けれど何に使おうと

ワタシが知る資格も必要もないから

聞くことはありませんでした。


支援を受けたお子さん達からの手紙を

カズさんのお父様が送ってくれました。


お金が無く、受けられない治療がある。

制度がある日本でも

その事で失われる命もある。

ワタシのお金が

少しは役に立ったのでしょうか。

手紙は読まずに捨てます。


ワタシはお金を作ることが出来ず

作ることに疲れて

諦めたことがあります。


お金が無くて何かを諦める。

世の中によくあることです。

大したことではありません。


望んだこと全て何もかもを

手に出来る訳じゃないし

お金があったからといって

叶えられるわけでもない。


まして、ワタシが払ったのは

自分のしたことへの償いなのだから

そのお金が知らない誰かの

少しは役に立てたとしたら

ワタシの不完全な身体に使うより

よいお金の使い方なのでしょう。


薄給のワタシは払った税金よりも

知らない誰かが払った高額税金のおかげで

多くの恩恵も還元も受けています。

不妊治療で自由診療で払った治療費や薬価

民間機関のカウンセリング料を見れば

皆保険制度の有り難さは分かっています。


カズさんと同じ病に苦しんで闘っている

小さな命に

ワタシのお金が少しでも役に立てたのなら

ワタシの過ごした時間も意味があったのかもしれません。



そう割りきれるほどワタシの心は広くない。

だから手紙は読まずに捨てます。