「人は良い思い出は忘れていく。

だから良い思い出の殆どが手が加えられた

事実とは少し違うものです。

傷ついた思い出は忘れられないもの。

人は一番傷つけてきた人を

忘れられない生き物です。」

 

「あなたが忘れられない人は

あなたを一番傷付けた人かもしれない。」


トラウマの治療で云われた言葉。


「忘れなくちゃいけない人なんていません。」

あの時ワタシはそう答えました。


あの人のことが一瞬浮かんだけど。

震災の時の電話で

それまでの時間の中で

もうそれは虚像だと分かっていた。

ワタシの知っている

忘れたくないと思っていた頃のあの人は

居なくなっていたから

知らない人と同じ。


ワタシが忘れられない

ワタシを一番傷付けた人は「ワタシ」


「過去の自分は他人だと思って」

という人たちもいるけど。

確かに今のワタシと

過去のワタシは別人だけれど。

今のワタシを苦しめてくるのは

限りなく過去のワタシで

自分のことはどうしたって忘れられない。

自分を好きじゃなくていい

嫌ったり憎んだりしない自分で居たかった。

少しはまともに生きていたはずの自分を

ワタシはもう忘れてしまった。