昨夜遅くに突然カズさんの友人が訪ねてきた。


冬眠中のワタシは携帯電話も冬眠中。

週に一度位は開いて見るけど、後は部屋の片隅に置いたまま。


メールしたのに返事が来ないからって

突然の訪問にびっくり。




彼はカズさんのバイク友達で

3月中旬から桜前線に合わせて北上の旅をしているらしい。

ワタシの住む街の 桜の満開には少し間に合わなかった。






見覚えあるバイクとメットに

懐かしさの前に発作がおきてしまった。




ワタシはまだ ダメです。



こうしてカズさんとの書いたり 出来る様になったけど。




不意にカズさんの事 突きつけられると昨夜みたいになってしまう。

突きつけてるわけじゃないのは分かっていても。



自分時間の中でしか、カズさんを想えない。




彼はカズさんのバイクを全部 引き取って 今でも走らせている。

「カズも桜が見たいだろうと思って あいつのバイクで来たんだ」



一緒に着た奥さんがこっそりとワタシに云った。



「毎晩磨いているんだよ。毎晩欠かさず磨いて、

磨いては今でも泣いているんだよ」って。

ワタシとカズさんの思い出話をしたくてここまで来たんだよって。





ワタシはまだ ダメです。

自分時間の中でしか、カズさんを想えない。




「分かってる」って二人は笑って何度も頷いてくれました。




ワタシも分かっているつもりです。



カズさんが亡くなった後、彼らはワタシを訪ねてきてくれました。

電話では「おまえ大丈夫か?」とワタシの心配ばかりだったのに

ワタシの顔を見るなリ、彼は泣きました。

ワタシに縋りついて、大きな声をあげて泣きました。

ずっとずっと泣いていました。



ワタシはあの日の彼を一生忘れられないと思います。

ワタシの肩を掴んだ彼の手の強さを忘れないと思います。

「なぜだ?」って何度も何度もワタシに聞く 彼の声を一生忘れないと思う。



ワタシも分かってるつもりです。



どんなに辛いのか、悔しいのか、悲しいのか、淋しいのか。



分かってるつもりです。





ワタシは悲劇のヒロインじゃない。


カズさんを大事に大事に思う人が沢山いる。

皆、カズさんの死を悲しんでいる。




ワタシは自分時間でカズさんを想っています。

誰とも時計を合わせられずにいます。



その事で傷つけてしまう人たちが居ます。




分かっていて傷つける。

ワタシはまだ そんな事ばかりしています。




ワタシの祈りなんて 白々しい。





ドコデスカ?