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   憂鬱な月曜日に、更に輪を掛けて美凪の問題を抱えて、ひとりで学校には行けないなと、正門の手前で勇二を待っていた。
「オッスっ、なにしてんの?もしかして俺を待っててくれたの?」
   勇二は来るなり、冗談を言って、ひとりで笑っている。でも、守人の真剣な顔を見て、何ごとかあったんだなと、気づいて、
「葛城に何かあったのか?」
   訊かれて守人は、昨日のラブホテルのこと、それについての自分の考えを話して聞かせた。
「守人の考えだと、葛城は、エッチしてないんだな?」
   そこかよ、と思いながらも、守人もそうであってほしいと願っていた。
「だと思う。僕たちに会うときの感じから、そう思うだけだけど」
「だよな。ヤリマンて感じは、全然しないね」
   男とは、特に若い男は、大好きな到底手の届かないアイドルでも、スキャンダルや男と密会していたなんて、報道を見ると、「汚れてしまった」と勝手に思う生き物である。
   ふたりは、緊張感をみなぎらせて、体育館裏に向かう。
   いない。
「そういや、葛城が俺たちより先に学校に居たためしはないよな」
   勇二の言葉が終わらぬうちに、美凪がやって来た。

                                            「2018年2月5日」

Novel Koichi Tanaka KAGOSHIMA.