自閉症スペクトラムを持つ成人女性のひまわりです。私は当事者としてこのようなブログを書いておりますが、このブログを通して自閉症スペクトラムについて知れるきっかけとなれたら幸いです。

 

2024年の春がやってきましたが、皆さんはどうお過ごしでしょうか??私は、新生活と新社会人のWイベントで忙しいです。それまであったものが変わっていく春という季節は、心身共に気分が高揚したり落ち込んだりするかもしれませんが自分を大事にできたらいいな。そんな気持ちです。

 

さて、今回のテーマは『就職活動』について。なんでこのタイミングで書こうと思ったのかというと、1年前のこの時期の私は就職活動をしているところだったからです。就職活動をしていくと、自分のことに向き合っていく「大変さ」や、周りと比べて劣等感や不安感が募っていく「しんどさ」等にぶち当たっていくこともあります。そこで、今回は自閉症スペクトラムの当事者として就職活動の体験談を書いていきたいと思います。(今まさに就職活動をしている方へ。今回書いていくのはあくまでも個人の就職活動の体験談です。そこに留意して読んでいただければ幸いです。)

 

まず、私が就職活動を始めた時期は大学3年の2月でした。それまでは、卒業したらなんとなく仕事に就いたら良いかな~って考えていましたが、本当にそれで自分の道を決めてよいのかと悩んでいました。このままではまずいと思った大学3年の後期、ゼミの先生に進路相談に乗ってもらいました。1時間くらい私の適性や障がいの特性・私のやりたいことについて話を聞いてもらった時、ゼミの先生がとある民間企業Aを紹介してくださいました。

 

それをきっかけに、私の就職活動が始まりました。卒業後の行きたい進路が決まったとはいえ、就職活動において不安がありました。それは、自分自身の障がいについてでした。私は今まで何度かアルバイトをさせていただいたことがあるのですが、自分が持つ障がいの特性について職場の人に話してみると障がいの理解が得られて働きやすかったです。(ただ、残念なことに日本ではまだまだ障がいを持つ人が働きやすい職場があまりないように感じます。)そこから、自分が就職するときも障がいの理解が得られやすい職場が良いなと思っていました。

そこで、私は大学の就職支援課に自分の障がいについて相談してみました。障がいを持つ私がどのように就職活動をしたら良いのかが分からなかったからです。すると、就職支援課の方は私の障がいについて親身に聞いてくださいました。

「自分の障がいについて、どのような特性があってどのように対処しているのかを履歴書などに書いてみたらどう??過去の卒業生でね、自分の障がいの特性と自分がやっている対処法などを一冊のノートにして面接のときに渡した方がいて。その方は、無事に内定が貰えたのよ。あと、この話はハローワークの担当の人にも話してみたほうが良いと思う。そのほうがね、もっと色々なアドバイスとか貰えて就職活動がうまくいくんじゃないかなあ~と思うよ。」

このアドバイスを聞いた私は、学生の就職活動をサポートする担当の方に自分の障がいを伝える為にハローワークに向かいました。

生まれて初めてのハローワーク。それも、1人で行ったのでものすごく緊張感がありました。ハローワークに着くと、そこには私を「1人の就活生」としてサポートしてくれる担当の方がたくさんいらっしゃいました。そこから、自分の障がいを開示して大学の就職支援課とハローワークに履歴書の添削指導や模擬面接などの就職対策を積極的に取り組んできました。大学もハローワークも自宅からは遠く離れていたため、通うのに時間がかかって大変ではありましたが、(講義の時間と被らないように注意して、就職対策の時間を確保していました。)親身になってアドバイスをしてくださる方々のお陰で少しずつ自信がつくようになりました。また、民間企業Aの求めるスキルが当時の私にとっては苦手としていた分野でしたので、「検定試験を合格する」という目標で苦手分野を克服していました。(その検定試験には、無事合格できました。)

 

就職活動でのメンタルケアについては、自分の好きなことをして気分転換をしたり(私は音楽が好きなので、好きな曲をずっと聴いていました)、不安な気持ちがあることを大学の先生や親など信頼できる人に相談していました。就職活動を始めたはかりの頃、自分の書いた履歴書の下書きを見ては「ほかの就活生と比べて、私は『障がい』があるから不利なのかな・・?」と悲観的になったことがありました。しかし、それでも私のことを支えてくださる方々のお陰で少しずつ自信がついて前向きに就職活動を続けられるようになりました。

 

民間企業Aの就職試験の当日、私は不安と緊張の中で民間企業Aへと向かいました。数々の試験内容を経て最終面接に辿り着きました。最終面接では、自分の学校生活や履歴書に書いた自分の障がいのことをひっくるめて「自分の強み」として話をしていきました。面接の最後に自分が本当にここに就職しても良いのかを見極める為、民間企業Aの採用担当者に対して、民間企業Aが実際にやっている合理的配慮について逆質問をしました。すると、その採用担当者が実際に合理的配慮を受けて働いていらっしゃる社員の方を例に答えてくださいました。「ちゃんと障がいの理解をしようとしてくれる素敵な会社だな~」と思っていたその1週間後、私は晴れて民間企業Aから内定をいただくことができました。

 

ここまで、読んでくださった方へ。この体験談は、冒頭にも書きましたがあくまでも一個人の就職活動の体験談にすぎません。何故なら、障がいの捉え方は一人一人によって違うからです。私の場合は、障がいを開示したほうが就職先にも障がいの理解が得られて働きやすいだろうと考えましたが、障がいを開示しないほうが周りの心無い声を気にすることなく自分のペースで働きやすいなどと考える方もいると思います。(どちらの選択にせよ、本人が望んだ選択肢ならそれでよいと思います。)

 

今、まさに就職活動中の方にもこれからしようと思っている方にもこの体験談からお伝えしたいことは、「自分がどのように働いていきたいのか」をイメージしながら就職活動を行うことです。例えば、働きながらスキルアップをどんどんし続けたいのか、和気あいあいとした空気の中で働きたいのか、、、などなど。そうすると、自分の中にある軸が明確になって就職活動をする意義が見出しやすいと思います。とはいえ、そんなことよりも自分のやりたいこととか自分の進路ってどう考えればいいんだい…分からないんだわ…と悩む方もいるかもしれません。自己分析って言っても、自分のどこを見つめれば良いのか。そもそも、就職活動って何したらいいのか全然わからない。。。…と色々と悩みが出てくるこの自分のしょうもなさ。就職活動を始める前の私は、ただ何となく将来が見えないし、想像もできない自分に対して不安がいっぱいありました。そんな心情を抱えた私がやったことは、大学の先生に進路相談に乗ってもらうこと。そうすることで、自分だけでは見えない他者からの視点が感じられて自分の将来のことについて少しずつ興味を持って企業の説明会などに積極的に参加ができるようになりました。就職活動、と一口に言っても色々な過程があり誰にでも当てはまる最適解はないと思います。ですが、まずは就職活動の入り口をチラッと覗いてみる(就職活動ってどういうことするのかを先輩に聞いてみるとか)だけでも自分の将来について考えられているということで自分を褒めても良いと思います。就職活動は苦しい思いがのしかかって上手くいかない自分を責めてしまいがちになるかもしれませんが、それだけ貴方が向かっている進路に貴方なりに向かい合うことができている。もうその時点で最大限に褒めて良いと思います。ほかの誰かが貴方と同じ進路だとしても、貴方しかできない向かい方があるから。自分の将来に自分から動けていること。それが、貴方の強みとなるのだから。