ではでは続きを!
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~夜集~
あれからどれくらい歩いただろうか。現在午後九時。下級ウイルスとの戦闘だけではなく、中
級ウイルスとも何度も戦闘を行った。
「今日はここで休むことにしましょう。あと一日もあれば、ターミナルビルに着けるはずよ。
今日この世界にきたあなた達にとって休息は不可欠。今のうちに、ウイルスの階級の説明や今後
のことを話しておきましょう。」
俺達三人は座り込んでしまったが、燕はまだ元気そうだ。今日戦ってきたウイルス達は統率さ
れている気がしてならない。俺は今日倒したウイルスも含めて整理するために燕に訊ねた。
「下級ウイルスは蟻、蛇、カラスの三種。中級ウイルスはゴリラ、蟹、蛙の三種であっている
か?」
「ええ。これは、私の推測だけど、人型ウイルスがいると思うの。これは間違いなく上級ウイル
スね。人型ということは爪や牙ではなく、人間と同じように武器を使って戦うことができる。気
を抜いちゃだめよ。」
「人型ウイルスって本物の人じゃないよな?」
雅紀があわてて聞いた。
「違うはずよ。人間のデータをスキャンして新しくウイルスとして作り出されたもののはず。」
「この世界に来てからずっと気になっていたのですけど、四ノ森先輩はこの世界に何度も来たこ
とがあるはずですよね。そのときもターミナルビルから帰還しましたか?」
「薫ちゃん、あなたが一個下とは思えないほど頭が切れるようね。前回までは別の場所に帰還す
るゲートを用意しておいたけれど、私が前回帰還する際に、ウイルスに壊されてしまったの。私
はギリギリで帰還できたけど、ゲートは壊れてしまった。だから、ウイルスに支配されている
ターミナルビルに潜入してボスを倒してゲートを開くしか帰還する方法はないわ。」
夜も更けて午前零時を回る頃、四人が眠っているところを怪しげな影が建物の陰からのぞき見
ていた。
「ゲイン様、用意はできました。」
「私も同じく。」
「よし、今から攻撃に入る。合図でかかれ。三、二、一、行け!」
「みんな今よ。一撃で決めて。」
燕の合図に合わせ、建物の陰から現れた敵の背後から俺が一人目のウイルスの胸にある紋章を突
進からの突きで串刺しにすると、攻撃する間もなく消滅した。二人目は雅紀がトンファーで吹き
飛ばした後に、薫が無防備な紋章を狙撃して消滅させた。
「おのれ、小癪な。」
「残念だったわね。ウイルス軍だって統率されていて、ターミナルビルを占拠しているとなれ
ば、私達の位置の把握をしていて当たり前でしょ。だから、逆張りさせてもらったわ。あそこに
見える私たちはホログラムで写した私達よ。まんまと引っ掛かったみたいね。人型ウイルスが来
るとは思わなかったけれど、楽に消滅させることができたわ。」
「私としたことが人間風情に一本取られたことは否めないな。仕方ない、この私、ゲインが戦お
前達を駆逐してやろう。」
そう言って、ゲインはローブを脱いだ。だが、その姿に驚愕した。燕にそっくりな姿だった。
「どうした、驚いたか。私は目の前にいる相手の姿、声をコピーし、同じ武器を使い、コピーし
た相手と同じように戦えるプログラムだ。」
「ウイルス風情が良くも私を真似したわね。覚悟しなさい。」
俺達三人は相手の隙を窺っていたが、まるで隙がない。また、紋章がどこにあるかがわからない
から、戦闘によっては手が出せなくなりそうだ。ゲインが汚い真似をして、どちらが本物かを分
からなくさせるという戦法に出たら厄介だ。一刻も早く、紋章の位置を突き止めなければ。俺達
が先陣を切るしかない。身構えた瞬間にゲインは地面に矢を放ち大量のデータによる煙幕を起こ
した。俺たちの視界が遮られる中、矢と矢がぶつかる音がした。
「雅紀、薫、伏せろ!」
急な指示だったが、誰ひとり流れた矢に当たることはなかった。煙幕が消えて戦っている二人を
見たが、案の定どっちがどっちかわからない。加勢することすらできないようだ。
「私の攻撃の隙に相手の口を攻撃して。紋章はあいつの舌にあるわ。」
「あら、本物のあたしに攻撃するというの?私の舌に紋章なんかないわよ。ほら。」
本物か偽物かわからないが、舌を出して確認させた。
「隼人、加勢して。お願い。」
「あなたの隼人じゃなくて私の隼人よ。偽物をやっつけて!」
ゲインのコピーは完璧だ。喋り方を真似されたらかなわない。雅紀と薫も判断に困っているよう
だ。俺は本物を充てるために訊いた。
「お前の本名は」
「四ノ森燕」
と同時に二人で答えた。どうやら、名前はデータとしてコピーされているらしい。
「では、俺が夏休み前の終業式の学校で燕に言ったことは?」
「一緒に帰ろう。」
その瞬間、答えた方の首を抜刀術で落とした。
「なっ、何故?」
「残念。校長の話が長くない?でした。記憶のトレースまではできないようだな」
「おのれ!」
そう言って、首を切られたゲインが燕の姿から元の姿に戻る時、後ろから銃声がした。
「再生なんてさせないよ。あなたの紋章の位置は元の戻る一瞬で見抜いたわ。場所が分かれば
ノープロブレム。」
「薫、よくやった。隼人、四ノ森を連れてこっちへ。」
雅紀が言うのと同時に、首の後ろの紋章を打ち抜かれたゲインは消滅した。
「ちょっとひどいんじゃないの、隼人。万が一、ゲインが私の記憶をトレースしていたら、私が
消滅していたかもしれないじゃない。」
「俺は燕の仕草を同年代の誰よりも理解している。だから、まだ奥の手もあったさ。俺を信用し
てくれ。」
「わかってるわ。少しからかっただけよ。」
そう言った燕の顔が少し照れて赤くなっていた。
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はい、今日はここまで!
次回は少し間があくかも