東証に取引参加していたみずほ証券は、新規上場されたジェイコム株につき、「61万円1株」で売り注文すべきところ、誤って「1円61万株」と入力し、制限価格を超えているとの警告画面も無視してそのまま発注した。その後、みずほ証券は取消注文を入力したが、東証の売買システムには一定の場合に取消注文が正常に執行されない不具合があったため、誤発注は取り消されずにこれに基づく取引が次々と成立していった。その間、東証側も発行済株主数超える異常な取引が成立していることに気づき、みずほ証券と連絡をとりながら対応を検討していた。しかし、売買停止の措置が講じられることはないまま、最終的にみずほ証券が反対売買を入力するまで、誤発注に基づく取引は進行した。結果、みずほ証券に巨額の損害が生じたが、東証の約杓には、東証の市場の施設利用に関する損害については、東証に故意又は重過失がある場合を除いて免責されるとの規定があった。みずほ証券が受渡不能となった株券に代わる金銭等の損害415億円余を東証に賠償請求したのがこの訴訟である。

利益を得た個人トレーダー

今回の誤発注事件においては、とりわけ巨額の利益を得た「個人トレーダー」が、マスコミに大きく取り上げられた。

B.N.F

投資家B.N.Fは、7100株を取得、同日中に市場で1100株を売却、残る6000株(発行済み株式の41.38%)を現金決済(20億3500万円)していたことが、大量保有報告書で分かった。当人は「いつもと変わらず冷静だった」と語っていた。大量保有報告書に職業を「無職」と記載したため、大富豪の無職男としてネット上で話題となった。この事件でジェイコム男という異名をマスコミから得る。賃金労働者世帯の感覚では無職=無収入だと思われるためか、ニートという流行語(バズワード)との相乗効果もあり、大きな話題になった。