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「貧者の一灯」という言葉がある

貧しい人のささやかな志によるローソクの一本は
まごころがこもっていれば、富める者の万灯より尊い
という意味で使われている

仏は金銭の多寡ではなく
その行為にこめられた「まごころ」の多寡で
感謝と愛の量をはかっている
とも言いかえることができるだろう

私は時折、この「貧者の一灯」という言葉について
深く考えこむことがある

悟りへの道を案内している者にとっては
山道を登ってくる一人ひとりの固有の光を
限りなき愛惜をもって眺めなければならない時がある
その愛惜の気持ちが、はたしてその人に届くだろうか

あなたのその一灯を
限りなく愛しているという私のこの気持ちが
はたして伝わるだろうか
そう思ってしばし涙ぐみ、立ちどまることがある

「貧者」を経済的に貧しい
という意味に限定するのは不十分だろう
「心貧しき者」をも私は「貧者」ととらえたい

「心貧しき者」よ、汝の一灯を差し出せ
その魂の器の大小を問わず
その置かれたる環境の良否を問わず
汝なりの一灯をともせ

この一灯はローソクの光ではない
魂の光だ
悟りの放つ光彩だ

あなたにとっての最高の悟りを示せ
その光が、私には限りなくうれしいのだ

光よ通え 『貧者の一灯』より