国際政治の動きを読み切るのは難しい。

 

昨年は、「イスラム国」問題や、南シナ海に橋頭堡を築く中国の軍拡など、国際秩序の乱れは加速し、世界は混迷している。それらのテーマから、2016年の国際政治の注目ポイントを展望してみたい。

 

 

「イスラム国」問題は今年も続く

まずは、世界を揺るがす「イスラム国」問題だ。

 

アメリカなどは、8千回以上の空爆で"テロ殲滅"を企図したが、事態は悪化したままだ。中東難民の増加の勢いは収まらず、その一部が欧州に殺到。イスラム教徒が、かつてのユダヤ人のように、「流浪の民」となっている。

 

だが、本誌1月号(15年12月末発売)で詳述したように、欧米のやり方では、中東の反米感情を増殖させかねず、「第2のテロリスト」を生み出すだけだ。

 

欧米の価値観はすべてが正しいわけではない。かつての日本も、欧米から「野蛮国」というレッテルを貼られ、無差別爆撃を受けた。

 

今回の場合にも、「イスラム国にも一定の正当性がある」と理解すべきだろう。

 

このイスラム国問題について、大川隆法・幸福の科学総裁は、近著『正義の法』でこう述べている。

 

『イスラム国』の問題等は、まだ終わらないでしょうけれども、どこかの段階で、停戦はしなくてはいけないわけです。そして、体制に対して納得がいかないでいる人たち、特に、スンニ派の人たちに対して、何らかの自治権というか、居住権を与えるようなところで、線を引かなければいけないのではないかと考えています

 

今年も欧米は、「殲滅作戦」をとるだろうが、それではうまくはいかない。弾圧されているスンニ派に権利を与えるなど、早期に中東和平を実現すべきだ。

 

 

アメリカは「アジア回帰」を優先すべき

次に、世界の関心が集まっているのは中国だ。

 

中国は、2015年の経済成長率が目標の7%を下回る可能性が出ており、今や経済危機に直面している。その行方に関心が高まる日本では、「中国崩壊論」や「中国楽観論」を唱える議論が盛んになっている。

 

だが、中国よりも脆弱な権力基盤である北朝鮮ですら、いまだに崩壊していない。もし崩壊の兆候が出てくれば、中国は、内部の不満を外に向ける可能性もある。どちらに転んでも、予断を許さない状況に変わりはない。

 

むしろ、懸念すべきは、中国を抑止すべきアメリカが中東から手を引けない点だ。中国の増長をけん制する意味でも、世界は、イスラム国問題の落としどころを探り、「中国包囲網」の完成を優先すべきではないか。

 

 

親日・同盟国のトップが変わる

その包囲網を形づくれるか否かを決める出来事が、2016年は目白押しだ。

 

まずは、1月16日に投開票される台湾の総統選挙。現在、反中派とされる民進党・蔡英文(さい・えいぶん)氏の勝利が確実視されており、日本としては、タッグを組みやすいトップになる可能性が高い。

 

その後5月には、東南アジアの親日国フィリピンで大統領選挙が行われる。

 

11月には、同盟国であるアメリカ大統領選挙が行われる予定だ。すでに一部のマスコミは、「トランプ新大統領の誕生?」と報じているが、選挙は最後まで何が起きるか分からない。だが、仮に共和党候補が勝利すれば、日米同盟は深化するだろう。

 

世界は、中国に対して強硬な態度をとれるかが、これらの選挙によって変わってくる。

 

2016年の国際情勢も混迷を極めるだろう。その点、国際正義に対する関心も高まるに違いない。それぞれの国の国益を尊重しつつも、最後的には「地球的正義とは何か」も合わせて考える必要がある。

(山本慧)

 

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