シンクタンクのミャンマー経済研究・コンサル ティング(MERAC)が、調査会社のサード・ アイ(Third Eye)とともに、ヤンゴン とマンダレーで行った世論調査の結果がまとまっ た。
長く軍政下にあって、世論調査が実質的にで きなかったミャンマーで、本格的に行われた初の 世論調査といえ。
今回は、その概要を報告す る。(フジサンケイビジネスアイ)

◆公式統計に不安も

「アジア最後のフロンティア」といわれ、世界 の投資家が熱い視線を注ぐミャンマーだが、い ざ、投資計画を立てようとすると、誰もがミャン マーの経済社会の実態をつかむのに大変な苦労を する。必要かつ信頼できる統計やデータがほとん どないためだ。貿易統計(通関ベース)なども、 密輸や申告逃れのせいで、貿易相手国側から入手 した数字と大きな乖離(かいり)があり、あまり あてにはならない。

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2011年3月以降のテイン・セイン政権下で 進む広範かつ大幅な改革で、ミャンマーの政治・ 経済・社会の状況は日々、急速に変化しており、 ミャンマー社会の実態を把握するのは、容易では ない。

その意味で今回の調査は、ミャンマーに関わる 政府、企業、団体などにとって、ミャンマーの 人々が何を考え、社会にどのような変化が起こっ ているのかを把握するうえで、極めて有用で時宜 を得たものといえよう。

MERACとともに調査を行ったサード・アイ は、マーケティング調査や社会調査の多国籍の専 門家集団だ。
両社は主に内外の政府関係機関や外 資系企業の対ミャンマー戦略策定のバロメーター を提供することを狙い、ミャンマーの「ソーシャ ル・ウェザー・リサーチ」(社会的天気観測)プ ロジェクトを開始した。
できるだけ客観的データ を提供できるようにスポンサーを付けず、独立・ 中立の調査を目指した。

回答者は、今年5月から6月にかけ、最大都市 ヤンゴンと第2の都市マンダレーの15歳以上の 男女1128人(男性44%、女性56%)。
サ ンプリングは精度が高く偏りがない結果が得られ やすい層化3段無作為抽出法で行った。
具体的に は、確率比例サンプリング(PPSサンプリン グ)で調査地区(ヤンゴン管区32地区、マンダ レー管区18地区)を選択。
次に地区ごとにPP Sサンプリングでそれぞれ3つの集団を選ぶ。そ して、サンプル集団の全世帯をリストアップし、 世帯構成、所得、年齢、住所、電話番号などを世 帯ごとにインタビューし、回答の承諾を得る。
そ こから15歳以上の回答者候補をリストアップ し、システマティック・サンプリングで100人 の中の10人ごとに1人をランダムで選び、名前 と住所を確認するという手順だ。

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この手法のおかげで、ヤンゴン、マンダレーの 人々の民意をより正確に反映できる回答者を選択 できた。
この回答者に訓練された18人のインタ ビュアーが1人約40分間の面接を行った。

◆最も好きな国は米国

質問は全部で52問。
回答者の性別、年齢、教 育レベル、毎月の所得と支出などの一般的情報に 加え、諸外国やその国の製品に対する印象、外国 投資に対する姿勢のほか、特別にミャンマーの 人々が日本をどう見ているかについても焦点を当 てた。
また、テイン・セイン政権に対する評価も 尋ねた。

回答結果は大変興味深いものだった。
好ましい 国のトップは意外にもミャンマーに厳しい制裁を 科してきた米国で、日本が2位だった。ただ、日 本は「ミャンマー経済に最も重要な国」で、「働 きたい外国企業の国」でもトップ。
「製品の質」 も日本が断トツと、ほとんどの項目で日本はナン バーワンで、親日ぶりが確認できた。

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戦時中の日本軍の行為についても尋ねたが、約 9割の人が「両国の関係の障害にはなっていな い」と答えた。
他方、中国やインドに対するミャ ンマー人の印象は決して良くない。

テイン・セイン政権のパフォーマンス(業績) については9割強の人が評価。
12年4月の補欠 選挙で65.6%の人が国民民主連盟(NLD) を選んだときとは、だいぶ様相が異なっている。
また、完全ではないものの、自分の本当の意見を 表明できる環境に改善されたと、多くの人が回答 している。

この世論調査結果の報告書には詳細な集計表が 付属しており、さまざまな角度から独自の分析が 可能で対ミャンマー戦略を立てる上で多くのヒン トが得られよう。
報告書の日本語版(有料)の申 し込みは、メール(email:ebashi@ meracyangon.com)で受け付けて いる。