来年10月の消費税率10%への引き上げを、予定 通り実施するか、延期するかを、安倍首相は年内 に判断することになっている。今年4月に実施さ れた8%への引き上げは、景気への悪影響が非常 に大きく、アベノミクス全体の成果を御破算にし かねないものだった。
◆クルーグマン氏は、日本は景気回復に専念する べきとの主張 ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマン氏 は、ニューヨーク・タイムズ紙ウェブサイトの連 載ブログで、日本は消費税率10%への引き上げを 敢行すべきではないことを、はっきりと主張し た。
今年4月の引き上げは、アベノミクスの勢いに 深刻な打撃を与えた。その後、経済成長はいくら か回復してきているものの、いま勢いを失うの は、非常にまずいことだ、と氏は指摘する。アベ ノミクス最大の目的は、デフレ予想を打破し、か わりに、自然に持続する適度なインフレへの期待 を得ることだからだと、氏は理由を説明する。ク ルーグマン氏が自ら定式化したインフレ率予想の グラフでは、現在なお2%近くで横ばいを保って いることが示されている。
短期的な景気刺激策は、中期的な財政状況の安 定をもたらす措置とセットでなければならない、 という月並みな意見がある。これは一見、賢明な ものに思えるが、実際のところは大失敗に終わっ ている、と氏は警告する。デフレ脱却が目前の課 題であるときに、財政健全化の話も同時に進める と、逆効果となる措置がもたらされる可能性があ る。それがまさに4月の消費税率引き上げで日本 に起こったことだった、と氏は語る。
財政安定化に向けた動きに異論を唱えることは 難しいが、現在の状況では、それは“ボールから 目をそらすこと”を意味する。今の日本には、 「本当の本当に、そんなことをしている余裕はな い」とクルーグマン氏は断言している。
◆消費税率の再引き上げは、いまの日本にとって 得策ではない? 日本の、国と地方の長期債務残高は、2014度末 には1000兆円を超え、対GDP比で202%となる見 込みだ。これは世界最悪の水準だ。ロイターは、 この負債の大半は、15年にわたるデフレの間、 代々の政権が景気刺激を図ろうとして蓄積された ものだ、と説明している。
政府は毎年、赤字国債を発行し続けている。こ のまま財政状況が悪化し続けた場合、国債が信用 を失い、深刻な財政危機に陥る可能性が高い。 よって財政健全化が緊急の課題とされており、消 費税率引き上げもそのためのものである。
しかし、ロイターによると、来年10月の税率 10%への引き上げに関しては、予定通り実施され た場合、景気回復のチャンスを押し潰すような ら、日本の格付けにとってプラスとは限らない、 とスタンダード&プアーズ・レーティングズ・ サービシズ(S&P)ソブリン格付けディレクター の小川隆平氏が語っている。
ロイターによると、現在、S&Pによる日本の“ソ ブリン格付け”は、上から4番目の「AA-」であ る。その格付けの“見通し”は「ネガティブ」とさ れており、これは今後、格下げの可能性があるこ とを意味するという。
小川氏は、たとえ来年の消費税率引き上げを延 期するとした場合でも、政府には、社会保障費を 削減し、経済成長を加速するために構造改革をや り遂げる必要がある、と語っている。
◆日本にとって最後のチャンス? アベノミクス がつかむべき世界の変革とは 国際的な言論配信機関『プロジェクト・シンジ ケート』は、アベノミクスの不備を指摘し、日本 が採るべき道について語る論説を公開した。この 論説は、モルガン・スタンレーの元アジア地区会 長で元主席エコノミスト、現在、米エール大学 ジャクソン国際問題研究所上席研究員のスティー ブン・ローチ氏によるものだ。
氏によると、アベノミクスの戦略上、最も深刻 な欠点は、世界経済に今後起こりそうな、最大級 の変化のいくつかを考慮に入れていないことだと いう。例として氏が挙げているのは、中国とアメ リカ経済の来るべき“リバランス”だ。これは、そ れぞれの国において、重点を置くものが変化し、 経済のあり方が変容する、ということのようだ。
中国の場合、これまで(「世界の工場」とし て)外需頼みで経済成長を続けてきたが、今後は 内需が成長の主要な推進力となる、というのが氏 の説明である。また、アメリカの場合、これまで の、賃金の安い発展途上国から供給される品物を 過大に消費するというスタイルから、国内での設 備投資(と生産)が主導する経済に変わっていく という。
そのいずれでも、日本の輸出型産業は大きなメ リットを得ることができる。「メイド・イン・ ジャパン」のブランド力はまだ生きている、とい うのが氏の主張だ。逆に、この機会を逃すと、日 本は国際的にさらに主流から外されていく危険が あるという。日本にとって、これが最後のチャン スかもしれない、とローチ氏は語っている。
◆クルーグマン氏は、日本は景気回復に専念する べきとの主張 ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマン氏 は、ニューヨーク・タイムズ紙ウェブサイトの連 載ブログで、日本は消費税率10%への引き上げを 敢行すべきではないことを、はっきりと主張し た。
今年4月の引き上げは、アベノミクスの勢いに 深刻な打撃を与えた。その後、経済成長はいくら か回復してきているものの、いま勢いを失うの は、非常にまずいことだ、と氏は指摘する。アベ ノミクス最大の目的は、デフレ予想を打破し、か わりに、自然に持続する適度なインフレへの期待 を得ることだからだと、氏は理由を説明する。ク ルーグマン氏が自ら定式化したインフレ率予想の グラフでは、現在なお2%近くで横ばいを保って いることが示されている。
短期的な景気刺激策は、中期的な財政状況の安 定をもたらす措置とセットでなければならない、 という月並みな意見がある。これは一見、賢明な ものに思えるが、実際のところは大失敗に終わっ ている、と氏は警告する。デフレ脱却が目前の課 題であるときに、財政健全化の話も同時に進める と、逆効果となる措置がもたらされる可能性があ る。それがまさに4月の消費税率引き上げで日本 に起こったことだった、と氏は語る。
財政安定化に向けた動きに異論を唱えることは 難しいが、現在の状況では、それは“ボールから 目をそらすこと”を意味する。今の日本には、 「本当の本当に、そんなことをしている余裕はな い」とクルーグマン氏は断言している。
◆消費税率の再引き上げは、いまの日本にとって 得策ではない? 日本の、国と地方の長期債務残高は、2014度末 には1000兆円を超え、対GDP比で202%となる見 込みだ。これは世界最悪の水準だ。ロイターは、 この負債の大半は、15年にわたるデフレの間、 代々の政権が景気刺激を図ろうとして蓄積された ものだ、と説明している。
政府は毎年、赤字国債を発行し続けている。こ のまま財政状況が悪化し続けた場合、国債が信用 を失い、深刻な財政危機に陥る可能性が高い。 よって財政健全化が緊急の課題とされており、消 費税率引き上げもそのためのものである。
しかし、ロイターによると、来年10月の税率 10%への引き上げに関しては、予定通り実施され た場合、景気回復のチャンスを押し潰すような ら、日本の格付けにとってプラスとは限らない、 とスタンダード&プアーズ・レーティングズ・ サービシズ(S&P)ソブリン格付けディレクター の小川隆平氏が語っている。
ロイターによると、現在、S&Pによる日本の“ソ ブリン格付け”は、上から4番目の「AA-」であ る。その格付けの“見通し”は「ネガティブ」とさ れており、これは今後、格下げの可能性があるこ とを意味するという。
小川氏は、たとえ来年の消費税率引き上げを延 期するとした場合でも、政府には、社会保障費を 削減し、経済成長を加速するために構造改革をや り遂げる必要がある、と語っている。
◆日本にとって最後のチャンス? アベノミクス がつかむべき世界の変革とは 国際的な言論配信機関『プロジェクト・シンジ ケート』は、アベノミクスの不備を指摘し、日本 が採るべき道について語る論説を公開した。この 論説は、モルガン・スタンレーの元アジア地区会 長で元主席エコノミスト、現在、米エール大学 ジャクソン国際問題研究所上席研究員のスティー ブン・ローチ氏によるものだ。
氏によると、アベノミクスの戦略上、最も深刻 な欠点は、世界経済に今後起こりそうな、最大級 の変化のいくつかを考慮に入れていないことだと いう。例として氏が挙げているのは、中国とアメ リカ経済の来るべき“リバランス”だ。これは、そ れぞれの国において、重点を置くものが変化し、 経済のあり方が変容する、ということのようだ。
中国の場合、これまで(「世界の工場」とし て)外需頼みで経済成長を続けてきたが、今後は 内需が成長の主要な推進力となる、というのが氏 の説明である。また、アメリカの場合、これまで の、賃金の安い発展途上国から供給される品物を 過大に消費するというスタイルから、国内での設 備投資(と生産)が主導する経済に変わっていく という。
そのいずれでも、日本の輸出型産業は大きなメ リットを得ることができる。「メイド・イン・ ジャパン」のブランド力はまだ生きている、とい うのが氏の主張だ。逆に、この機会を逃すと、日 本は国際的にさらに主流から外されていく危険が あるという。日本にとって、これが最後のチャン スかもしれない、とローチ氏は語っている。