作家の落合信彦氏は、8月にイタリア、フランス、 オーストリアに滞在し、ヨーロッパの危機的な状況に 直面した。今から22年前、フランスの国民戦線党首 だったジャン=マリー・ル・ペン氏は「日本が少しで も気を緩めると移民に占拠されますよ」と警告してい た。落合氏が指摘する。

* * * 日本では、いよいよ労働者が不足しているから移民 を受け入れるべきだという議論が政府内で活発化して いる。

だが、それは日本文化を崩壊させ、日本が日本でな くなってしまう危険性を孕んだ政策であることを、政 治家たちはどれだけ認識しているのだろうか。

アメリカは移民を受け入れることで発展したではな いか、という人もいるだろう。しかし、いまやアメリ カでも本当に優秀な人材は来なくなり、エクアドルや ホンジュラスといった国々からただ食い扶持を求める だけの不法移民が増えているのが現実だ。

彼らは子供をテキサスやニューメキシコの国境沿い まで送り込む。兵士も警察も子供相手には発砲できな いことを分かっているから、まず子供をアメリカに不 法入国させるのだ。そうして、あとからその両親や家 族が入り込むという算段だ。オバマがそれを黙認する ことで、どんどん国力が低下している。

しかも、アメリカやイギリスをはじめ世界各国で、 移民たちがイスラム過激派に転身し、テロ行為に走る ということが相次いでいる。

こうした事態は、対岸の火事ではない。いま中国で は、『日本でタダで生活する方法』といった類いの本 が売れていると聞く。日本に来て生活保護を受ける方 法などが事細かに解説されているというのだ。移民を 受け入れれば、大量の中国人を日本人の税金で養うこ とになるだろう。

私がヨーロッパで目撃した現実を、恐らく日本の政 治家たちは知りもしない。ガイドに任せっきりの外遊 ばかりでは、その国の本当の姿や人々の本音など、分 かるはずがない。現実から乖離した議論だけで移民受 け入れが決まるとすれば、あまりにも危険である。

そういえばル・ペンはインタビューの際、こんなこ とも言っていた。

「あなたは日本人だ。日本人には日本の国家というも のがある。これが世界を面白くしている。国家のボー ダーを取りやめて、一緒になろう、仲良くやりましょ うなんて、そんなのは子供のそら言だ」

いまの日本に突き刺さる卓見である。

※SAPIO2014年11月号