結党50年の節目と重なる9月21日の公 明党大会で、代表の山口那津男が無投票4選 されることは既定路線だ。そこに向かって山 口は自らの「実績」や「役割」をアピールす るのに懸命となっている。
「今回決めた閣議決定は、これから法律を 作る基になる考え方です。この基を、しっか り国会の議論でさらに掘り下げて明確にして いきます」
今月1日に発売された創価学会関連の月刊 誌「第三文明」9月号の評論家との対談で、 集団的自衛権の行使容認をめぐる閣議決定に ついてこう語った。政府・自民党との攻防の 第2ラウンドは安全保障関連法の改正作業 -。そう言っているに等しい。
煮え切らない態度
首相、安倍晋三が政府の有識者会議「安全 保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安 保法制懇)」の報告書を受け取り、記者会見 に臨んだのは、与党協議が始まる前の5月1 5日のことだった。安倍は「限定容認論」を 訴え、武力行使を目的とした多国籍軍などの 集団安全保障への参加も「決してない」と封 印した。
安倍の「譲歩」を受け、公明党のある引退 議員は「首相が譲歩したんだから条件を整 え、容認の方向で交渉したらどうか」と山口 に進言した。しかし山口は「そんな気はな い」と突っぱねた。
与党協議を重ねても、山口は「党員・支持 者に理解されるだろうか…」と、煮え切らな い態度を取り続けた。さすがに、与党協議の 実務者は決断を迫った。
「そんなこと言っている場合じゃない。首 相が『急いでくれ』と言っているんです」
背中を押される形で山口は6月13日の党 参院議員総会でかじを切った。
「合意を目指す姿勢で臨んでいく」
そんな姿を「潔くない」と批判する声も漏 れたが、それは安倍に近い公明党議員が中心 だった。山口の責任を問う声は党内や支持母 体の創価学会には皆無だ。
「ポスト山口」が不在という事情もある が、山口の歯切れの良い発言などから「山口 人気」は健在。多忙でも手紙が届くと返事を 書くなど、山口流の心遣いが人気の源泉とい える。
だが、「風雪に耐えた連立政権」(安倍) に横たわる課題は山積している。
とりわけ公明党が神経をとがらせているの は、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減 税率制度の導入時期だ。党執行部は消費税増 税関連法に賛成する条件として、軽減税率導 入を約束し、支持者らを説得した経緯があ る。
このため、来年10月に予定される消費税 率10%への引き上げ時と「同時導入」の旗 を降ろしていない。ただ、山口は7月22 日、同時導入が「望ましい」としながらも、 「最終的に首相の判断。首相が判断できるよ う材料を与党として整えるのが重要だ」と トーンダウンさせた。
党内には「集団的自衛権行使は限定的とは いえ容認したのだから軽減税率ではこちらの 要求をのんでもらう」といった強硬論もある が、山口は集団的自衛権と軽減税率を取引材 料にする可能性を否定してきただけに、「江 戸の敵を長崎で討つ」ような印象を持たれる ことは避けたいようだ。
統一選へ焦り募る
与党税制協議会が行った関係団体を対象と した軽減税率に関する意見聴取では、流通業 界を中心に「納税事務負担が増大する」など と異論が続出した。「導入に慎重な自民党側 がわが党への説得材料にしたい思惑が透け る」(公明党税制調査会幹部)と早くも押さ れ気味だ。与党税制大綱をめぐる自民、公明 両党の攻防は、年末にヤマ場を迎える。公明 党税調幹部は来春の統一地方選をにらみ、焦 りを募らせる。
「集団的自衛権で苦渋の決断を迫られ、軽 減税率も『なしのつぶて』では困る」(敬称 略)
◇
「かすむ航路」は岡田浩明、村上智博、力 武崇樹が担当しました。
「今回決めた閣議決定は、これから法律を 作る基になる考え方です。この基を、しっか り国会の議論でさらに掘り下げて明確にして いきます」
今月1日に発売された創価学会関連の月刊 誌「第三文明」9月号の評論家との対談で、 集団的自衛権の行使容認をめぐる閣議決定に ついてこう語った。政府・自民党との攻防の 第2ラウンドは安全保障関連法の改正作業 -。そう言っているに等しい。
煮え切らない態度
首相、安倍晋三が政府の有識者会議「安全 保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安 保法制懇)」の報告書を受け取り、記者会見 に臨んだのは、与党協議が始まる前の5月1 5日のことだった。安倍は「限定容認論」を 訴え、武力行使を目的とした多国籍軍などの 集団安全保障への参加も「決してない」と封 印した。
安倍の「譲歩」を受け、公明党のある引退 議員は「首相が譲歩したんだから条件を整 え、容認の方向で交渉したらどうか」と山口 に進言した。しかし山口は「そんな気はな い」と突っぱねた。
与党協議を重ねても、山口は「党員・支持 者に理解されるだろうか…」と、煮え切らな い態度を取り続けた。さすがに、与党協議の 実務者は決断を迫った。
「そんなこと言っている場合じゃない。首 相が『急いでくれ』と言っているんです」
背中を押される形で山口は6月13日の党 参院議員総会でかじを切った。
「合意を目指す姿勢で臨んでいく」
そんな姿を「潔くない」と批判する声も漏 れたが、それは安倍に近い公明党議員が中心 だった。山口の責任を問う声は党内や支持母 体の創価学会には皆無だ。
「ポスト山口」が不在という事情もある が、山口の歯切れの良い発言などから「山口 人気」は健在。多忙でも手紙が届くと返事を 書くなど、山口流の心遣いが人気の源泉とい える。
だが、「風雪に耐えた連立政権」(安倍) に横たわる課題は山積している。
とりわけ公明党が神経をとがらせているの は、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減 税率制度の導入時期だ。党執行部は消費税増 税関連法に賛成する条件として、軽減税率導 入を約束し、支持者らを説得した経緯があ る。
このため、来年10月に予定される消費税 率10%への引き上げ時と「同時導入」の旗 を降ろしていない。ただ、山口は7月22 日、同時導入が「望ましい」としながらも、 「最終的に首相の判断。首相が判断できるよ う材料を与党として整えるのが重要だ」と トーンダウンさせた。
党内には「集団的自衛権行使は限定的とは いえ容認したのだから軽減税率ではこちらの 要求をのんでもらう」といった強硬論もある が、山口は集団的自衛権と軽減税率を取引材 料にする可能性を否定してきただけに、「江 戸の敵を長崎で討つ」ような印象を持たれる ことは避けたいようだ。
統一選へ焦り募る
与党税制協議会が行った関係団体を対象と した軽減税率に関する意見聴取では、流通業 界を中心に「納税事務負担が増大する」など と異論が続出した。「導入に慎重な自民党側 がわが党への説得材料にしたい思惑が透け る」(公明党税制調査会幹部)と早くも押さ れ気味だ。与党税制大綱をめぐる自民、公明 両党の攻防は、年末にヤマ場を迎える。公明 党税調幹部は来春の統一地方選をにらみ、焦 りを募らせる。
「集団的自衛権で苦渋の決断を迫られ、軽 減税率も『なしのつぶて』では困る」(敬称 略)
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「かすむ航路」は岡田浩明、村上智博、力 武崇樹が担当しました。