韓国で朝鮮戦争後に駐留米軍を相手にした 米軍慰安婦の存在がクローズアップされつ つある。彼女たちは米軍基地の周辺に作ら れた売春街「基地村」で米兵の相手をさせ られた。こうした基地村での売春は国家に よって厳格に管理されており、週に1回、政 府直轄の「性病管理所」で検査を受けるこ とを義務づけられていたという。

検査に引っかかると隔離施設で治療を受け なければならなくなる。治療施設は

家』と呼ばれていて周囲には鉄条網が張り 巡らされていた。

昨年11月、韓国の国会で野党民主党のユ・ スンヒ議員は、1977年4月作成の「基地村女 性浄化対策」と題された政府文書をもとに 国の責任を追及した。同文書には朴槿恵 (パク・クネ)大統領の父である当時の朴 正熙(パク・チョンヒ)大統領の署名が 入っており、それによると全国62か所の基 地村に9935人の女性が生活していたと記録

こうした管理は1996年まで続

されている。

き、累計すれば10万人規模の女性が国の管 理下で売春を行なっていたとみられてい る。

本誌の取材に応じた2人の元慰安婦は

家に悲惨な場所という印象はない」

が、一方で追及したユ議員は国会で「被害 者の証言では、隔離施設では感染症治療の 中でペニシリンショックを起こして死亡す る女性も多かった」と発言した。

徐々に全貌が明らかになる中で、今年6月25 日、122人の元米軍慰安婦が「韓国政府は米 兵相手の慰安婦制度を作り、自分たちを徹 底的に管理し、苛酷な売春をさせた」

て国を相手取り、1人1000万ウォン

万円)の賠償訴訟を起こしたのだ。

原告団をサポートする「基地村女性人権連 帯センター」で、今回の訴訟の渉外担当と なるチュミポン(駐韓米軍犯罪根絶運動本 部)の担当者であるパクチョン・キョンス 氏が、訴訟の全貌について本誌の取材に答 えた。同氏によれば「日本メディアの対面 取材に応じるのは初めて」だという。

「原告の女性たちは韓国北西部に位置する 京畿道の中の一部地域に集まって暮らす元 米軍慰安婦たちで、現在60~70歳です。独 身の方もいれば、結婚している方、未婚だ が子供のいる方がいますが、多くが生活保 護を受けていて苦しい生活を強いられてい ます」

パクチョン氏らが問題視するのも政府に よる性病検査などの存在だ。

則的に禁じていた時代に、政府は特定地域 に限って合法化し、基地村で働く女性に性 病検査を強要した。我々はそのことを国家 による基本的人権の侵害と考えます。

韓国の主要メディアは訴訟について短くし か報じません。在韓米軍が関係する問題な のであまり騒ぎたくないのでしょう。特定 地域での性売買を合法化したのが現大統領 の父親だったという不都合な事情もあると 思います(1962年当時、朴正熙氏は前年の 軍事クーデターによって国家再建最高会議 議長となり、最高権力者だった)」

韓国政府とメディアがそうして米軍慰安婦 たちの訴訟を黙殺する一方、海外メディア が少しずつだが動き始めた。

7月11日、ロイター通信は原告女性のうちの 一人の体験を取り上げて報道。記事では 1960年代初頭に女衒(ぜげん)

ウルの南に位置するキャンプ・ハンフリー ズ近くの売春宿に売られた、当時10代の女 性についてレポートされている。彼女は 「生活は苦しく、病気にもなった」

を米兵にうつさないよう、週に2回検査を受 けた。異常が見つかれば建物に閉じ込めら れ、解錠されるのは食事のときだけだっ た。何人かは逃げ出そうとして脚に怪我を した」と語ったという。

貧困が背景にあった以上、こうした人身売 買のケースは数多くあったと考えられる。 韓国の革新系メディアの中には

春業者が、女性たちが逃げないよう共謀し た」という米軍慰安婦の証言を紹介するも のも出てきた。

※週刊ポスト2014年8月15・22日号

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