フォーブズ誌が「中国は新たなチェルノブ イリを輸出する気か」と題した刺激的な記事 を公開しました。

通常原発の2倍ある巨大出力炉を世界で初 めて運転するのに、中国の規制当局は技術的 に「めげてる」としか見えません。

海外で熟れた技術を輸入して模倣、「国産 化」する戦略だったのに、原子力では何を間 違ったのか、最先端の第3世代炉に飛びつき ました。結果として、全くの新型炉を中国が 世界初で運転しなければならなくなりまし た。ノウハウをもらうどころか、ゼロから創 出して世界に送り出さねばならない――中国原 子力規制当局がその任にないと、建設が大詰 めになる程に歴然としてきたのです。

22日付のフォーブズ誌記事《Will China Export The Next Chernobyl?》は20年来、上海 や香港で活動し、現在は原子力を追っている ライターが書いたものです。広東省・台山原 発で建設中の「EPR 欧州加圧水型炉」と呼ぶ 出力160万キロワット新型炉を取り上げていま す。

この炉はフランス・アレバ社が設計し、フ ランスとフィンランドでも建設中で、いずれ も遅れがちなのに、中国だけが建設が先行し ています。運転開始も迫っています。ところ が、フランスの規制当局者が「中国とはフィ ンランドほど緊密な協力関係にない」と認め ています。問いかけても応答がないので す。「協力関係が上手く進められない原因 は、中国当局の能力・人的資源が足りないか らだ」「彼らはoverwhelmedされているよう に見える」

「overwhelmedされる」は「圧倒されてい る」「打ちのめされている」と訳したらいい と思いますが、いま風なら「めげてる」では ないでしょうか。

それにもかかわらず、中国は原発機器国産 化と知的財産権取得、それによる輸出には熱 心なのです。上に掲げたのは台山2号機用の 蒸気発生器で長さ25メートル、重さ550トン もあって、EPRはこれを4ループで4基備え る巨大な炉です。

早くも2号機段階で国産化に踏み切ってい ますが、昨年、フランスの検査官が現地で見 た限りでは蒸気発生器もポンプも適性な管理 状態ではなかったと言います。

それでも原発輸出はパキスタン、トルコ、 ブラジル、南アフリカなどと商談を進めてい ます。フォーブズ記事は「何かが間違ってい る。近い将来、中国内か、中国のプラントが 設置される場所で新たなチェルノブイリ事故 が起きかねない」と警鐘を鳴らしています。

もう一つの第3世代炉「AP1000」も含めた 中国原子力の動向は第419回「新型炉ばかりの 中国原発、安全確保に大きな不安」にまとめ ました。

AP1000は幸か不幸か、メインポンプに設計 上の問題が発生して2015年末まで運開が延期 されました。

年内にも運転されるかもしれないEPR、台 山1号機の危うさが大きな焦点になってきま した。サイトは香港の西160キロの海岸線で す。

ブルームバーグも同様の危惧を報じていま す。

団藤保晴

blogos.com 2014年06月27日 08:27 http://blogos.com/article/89310/