ネット上では福島原発事故の影響だとするさ まざまな健康被害の情報が流れたが、大半は根 拠やデータのない風説だ。例えば、以下のよう なものがある。

●奇形児が生まれた 広島・長崎の被曝者の追跡調査(放射線影響 研究所調査)の結果を見ると奇形児が有意に増 えたとは言えない。さらに、被曝者の子孫に影 響が遺伝した例もない。今回の福島でも奇形児 が増えたというデータは、いかなる調査、統計 でも存在しない。また、流産が増えたとの噂も 流れたが、そのような事実もない。

●がん患者が増えた 放射線はDNAに損傷を与えるので、大量の 放射線を浴びれば、がんなどのリスクが高まる 。しかし前出の放射線研究所調査で100ミリシ ーベルト以下の低線量被曝でのリスク増加は確 認されていない。

●急性白血病で鼻血、下痢に 非常に高い線量の放射線を1度に被曝した場 合(急性放射線症)に造血幹細胞が死んで出血 が止まらなくなったり、小腸内の幹細胞が死ん で下痢をしたりする。福島のような低線量被曝 ではあり得ない。鼻血や下痢があったとしても 放射線被曝とは関係がない。

漠然とした不安感から不正確な情報、根拠な いデマに乗せられると、被災地の人々を傷つけ 、差別を生む。

※SAPIO2014年4月号