2月9日の都知事選を受けて朝日新聞 が掲載した「田母神氏、60万票の意味 『ネット保守』支持」と題した記事 (11日付)によれば、投票結果では特 に20代のうち24%が田母神俊雄氏に投 票、宇都宮健児氏(19%)と細川護煕 氏(11%)を大きく引き離したとい う。当初マスコミに泡沫候補扱いされた 氏が、予想の30万票の倍以上を獲得。 当の田母神陣営からも驚きの声が上がっ た。韓国・東亜日報も同日、田母神氏の 得票率が20、30代で細川氏を上回った (朝日新聞/出口調査)と指摘、「若者 層の右傾化現象が際立った」と論評し た。

しかし、右寄りの候補が20、30代の 支持を集めた途端、ネトウヨ(ネット右 翼)の仕業、ネットの保守化と決めつけ るのは短絡的すぎる。確かにネトウヨ は、2ちゃんねるやニコ生、ヤフコメな ど匿名性の高いネット言論を舞台に、田 母神氏を強烈に支持。各種ネット調査で は、「田母神氏に投票する」が80%に 上っていた。しかし実際に投票したのは 20代の24%。ネットの投票予想とかけ 離れている。実際に投票に行った若者の 多くがネトウヨでないことは明らかだ。

では田母神氏は、なぜ若い世代の支持 を伸ばしたのか。それは彼の言葉が明確 で、是非は別にして本音で語ったから だ。

「国を作ってきたのは時の権力者と金 持ちです。(中略)貧乏人は御すそ分け に預かって生きてきた」という一見炎上 必至のツイートが、逆に嘘がないと好感 される。また明確に原発再稼働、靖国参 拝を認め、外国人参政権反対、歴史教科 書を誇りの持てる内容に書き換えるな ど、政治スタンスを明確にしたこともそ うだ。

主張が胸のすく明確で率直なものであ ればあるほど共感が広がり、情報の連鎖 と共有が起きるのがネットの特質だ。そ れをさらに増幅するのがフェイスブック やツイッターなどのSNSである。

「中国などから侵略を受けたとき憲法 九条でどう守るのか」「中国・韓国との 融和は日本にどんなメリットがあるの か」

「脱原発による電気料金の値上げはど うカバーするのか」といった点で、細川 氏も宇都宮氏も明確に答えていなかっ た。田母神氏の予想外の健闘は右傾化と いうよりも、リベラル勢力がこれまで結 論ありきの物言いで世論を誘導し、具体 論を語ってこなかったツケが今、回って きたと見るべきだ。