9日の東京都知事選で、自民党など与党が支援 した舛添要一元厚生労働相が細川護煕元首相らを 抑えて初当選した。

選挙戦では細川氏が小泉純一郎元首相と連携し て「原発即時ゼロ」を訴えたことから、原発問題 が争点に急浮上した。

選挙結果を受けて産経は「『脱原発』を掲げた ムード選挙は敗れた」、読売は「非現実的な『原 発即時ゼロ』の主張に、多くの都民が拒否反応を 示した」と、ともに冒頭で、「原発ゼロ」を言い 立てる陣営に都民が背を向けた点を強調した。

細川氏が「脱原発」を単一の争点にしたことに ついて、産経は「『脱原発』に傾倒する知事の登 場を都民が望んでいただろうか」と問いかけ、細 川氏は脱原発の具体策に向けて説得力のある工程 表すら示さなかったと批判した。また有権者につ いては「景気・雇用や社会保障など都政の諸課題 を幅広くとらえて判断した」「国政と都政の課題 の違いを見きわめ、冷静な選択が行われた」と高 く評価した。

読売もやはり「国政に関わる原発・エネルギー 問題を首長選で争うのは、無理があったのではな いか」「(舛添氏の)現実的な姿勢に、都民は期 待を寄せたのではないか」と分析し、細川氏が再 生可能エネルギーの確保策について具体的に語ら なかったのは「無責任に過ぎる」と断じた。日経 も「原発の是非を最大の争点に据える動きに対し て、有権者は現実的な選択をした」と論評した。

「有権者の現実的な選択」については朝日、毎 日、東京も言及するところではある。「急速な少 子高齢化のなか、安心して暮らし、働けて、活気 もある東京を、いかにつくるか。都民の大きな関 心はそこにあった」(朝日)、「(舛添氏が)堅 実に手腕を発揮することへの期待の表れだろう」 (毎日)、「まずは足元の暮らし向きを落ち着か せたい(中略)そんな思いが先行したからかもし れない」(東京)-。朝日と毎日はさらに、有権 者が「原発一本」には乗らなかったことにも触れ た。

だが一方で、「いずれ原発頼みから卒業しなけ ればという考え方は、選挙戦を通じて都民に広く 共有されただろう」(朝日)、「再稼働への信任 が得られたと安易に考えるのは誤りだ」(毎日) -などとも述べ、「脱原発」が拒否されたわけで はないとの見方も示した。

舛添氏には早急に着手すべき課題が山積してい る。「高齢化への対応」は6紙すべてが取り上 げ、全力での取り組みを要望するなどした。

都政の停滞で大幅に遅れている五輪への準備に ついては、日経が「新知事がまず取り組まなけれ ばならない課題」だと力説したほか、産経、読売 も同様に準備を急ぐよう促した。

産経は、舛添氏が、計画や施設の縮小を唱えた 候補者を得票で引き離したことを踏まえ、「都民 が計画通りの五輪を期待した結果とみてもいいの ではないか」とし、「政府やスポーツ界、経済界 との『オールジャパン体制』の再構築にも力を尽 くしてほしい」と求めた。

今回の選挙はそもそも、猪瀬直樹前知事の選挙 資金疑惑に端を発したものだ。舛添知事の誕生 で、「政治とカネにまつわるゴタゴタは打ち止め にしなければならない」(朝日)のは言うまでも ないが、産経は、都政への不信を払拭することも 大きな課題だとして、「猪瀬氏の疑惑を、不透明 なままにしてはなるまい」と直言した。

選挙で冷静な選択をした都民は、引き続き冷徹 な目で都政を見守っていく必要があろう。(清湖 口敏)