東京電力福島第一原発事故の被曝(ひ ばく)による健康影響について、住民の 理解につながる情報を積極的に提供する ための施策を国がまとめた。放射線リス クに関する基本的情報を集めた冊子を初 めて作り、放射線の専門家の育成や住民 向け相談員の配置などの支援もする。 昨年12月に決めた福島復興の新指針 で、原発事故の避難者全員の帰還を断念 した政府の方針転換に伴う具体的な施策 の一つだ。 国は今春以降、約3万8千人が避難を 余儀なくされている福島の6市町村で避 難指示解除を提案する予定だ。住民意向 調査では放射線リスクへの不安などか ら、「帰らない」「判断できない」と いった回答が多数を占めている。このた め、国が率先して情報を発信し、不安を 和らげる必要があると判断した。201 4年度予算案に数十億円を計上してい る。 冊子には福島県での個人線量計による 外部被曝や子どもの甲状腺検査の状況な どのデータを記載。世界保健機関(WH O)が事故後の福島でのがんの発生リス クを予測した報告書や放射線と喫煙など 生活習慣によるがんのリスクの比較など も盛り込んでいる。 正確で最新の情報にするため、国は計 56人の有識者に点検や助言を依頼し た。今後も最新の知見を反映し、冊子を 更新する。 こうしたリスクを住民にわかりやすく 伝えられる人材を福島の地元で多く育て るため、保健福祉や教育の関係者に研修 をするほか、福島県立医科大に専門的な 講座の創設を支援する。帰還を選んだ人 の相談に乗る保健師や自治体職員らを配 置し、活動する拠点を国が整備する。 (中村信義)